日本皮膚科学会雑誌
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健康者の爪の比重について
洙田 明男
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1963 年 73 巻 2 号 p. 128-

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抄録

人類にとつて爪の存在価値,その生理機能が何であるかは明らかでない.たとえ動物の進化過程における遺残物であるとしても,毛髪とともに皮膚附属器官として,その発生,成長の様相は,皮膚のそれと関連し,観察に便利である.さきに私は健康者の毛髪比重を測定して皮膚機能との関係を検討したが,爪もまた全身の栄養,内分泌系,植物神経系等と関係が深く,内部臓器障害の指標として診断に役立つことは明らかで,古くから爪の生理,生化学,組織解剖学的方面から多数の研究,調査,観察がなされて来た.しかし爪の生理学的,化学的および解剖学的性状の綜合的表現と考えられる爪の比重に関する文献はほとんどみられず,ただLeiderらが白人黒人について測定を行つているにすぎない(1954).従つて今回は毛髪に引続き日本人健康者について爪の比重を測定し,年代的推移,季節的変動,性別差,部位による差を追求したのでここに報告する.

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© 1963 日本皮膚科学会
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