日本皮膚科学会雑誌
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73 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 加納 魁一郎, 野崎 憲久, 沢田 英穂, 大橋 勝
    1963 年 73 巻 2 号 p. 67-
    発行日: 1963年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    尋常性白斑の治療に関しては,わが教室において既に十有余年前よりその発生機序に関して組織解剖学的,生化学的,生理学的等多方面の分野において検索を進める傍ら,種々の治療法を考案,改革しつゝ有意な成績を得ており,逐次発表して諸家の批判を仰いで来たのであるが,症例に適応と考えられる方法を適用しても期待する程の効果をあげ得なかつたり,数種の方法を混用しても長期に亘り好転の兆を認めなかつたり,又は短期間に治癒を要望されて困惑する場合を経験する機会が少なしと云えなかつた.この様な場合の病変部皮膚は光線照射と局所的処置等により肥厚,硬化,時には萎縮を来たし,色素恢復の希望が少ないのみか周辺部正常皮膚色素の活溌な拡散傾向にも乏しく,従来の治療法に替えるに外科的療法等を考慮するものの治癒後における美容的方面での難点が大なる抑制因子となつていた.われわれは最近数年前よりこれらの条件を充しつつ患者も満足し得る方法として,皮膚点状移植法を考案し,初期の数例での経験でかなりの効果を得たので以後引続き実施した18例の症例についての結果を述べ考案を試みたいと思う.
  • 長谷川 一雄
    1963 年 73 巻 2 号 p. 81-
    発行日: 1963年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    1960年“Hautarzt”にWeirichは尋常性乾癬の系統的治療について広範な総説を試みているが,その中に“Milchsaure”療法についても解説を行つている.従来,最も治療が困難とされる本疾患にはWeirichも述べている如く,その根本的な治療法はいまだ確立されておらず,最近のTriamcinoloneも一時的に症状を抑制するには極めて有効な治療法であるが,投与を中止すればすみやかに再発再燃がみられ,いきおい長期治療が強要せられるのでその副作用の方が重大となる事が多い.その他,Riboflavin,Heparin,Vitamin Mから更にAminopterin等の抗癌剤にいたるまで本症に試みられているが,その治療効果は尚すべての人々の承認を得るに至つていない.Weirichは次の如く述べている.“乳酸の乾癬に対する臨床効果は次の如くである.即ち従来の多くの内服剤にくらべ極めて有効なる効果を示す.しかしながらこれも又,長期間の治癒を約束するものでない.最近,著者はこの右旋性乳酸を入手し,これによる治療を行い,次の成績を得たので内外文献を参照しつゝ報告,御参考に供したい.”
  • 山崎 泰助
    1963 年 73 巻 2 号 p. 89-
    発行日: 1963年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    皮膚の微細構造を,皮膚顕微鏡を用いて,生体のまゝで観察しようとする試みはLombard(1912)に始まり,Muller,Gilje,Davis,その他多数の研究者によつて受けつがれ,皮膚科学領域ばかりでなく,広く生理学や内科学の領域においても行われてきた.このような研究の進歩は,実験方法の改良に負う所が大である.従来は,普通の光学顕微鏡を改造した装置を用いて生体観察を行い,所見を模写する程度であつたが,最近では,光学機械の発達とDavisらによつて考案された装置の利用により,観察所見の写真撮影が容易にできるようになり,更に映畫撮影の技術もとり入れられてきた.このように技術的に大いに進歩したこの方面の研究は,現在,2つの方向に進みつつある.ひとつは皮膚病変そのものを直接に観察する方向で,病変部の動的変化を把握することを目的とする.他は爪廓の毛細血管像を観察する方向で,爪廓における毛細血管の変化を手掛りとして,全身の血管の状態を把握しようとするものである.
  • 洙田 明男
    1963 年 73 巻 2 号 p. 114-
    発行日: 1963年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    毛髪は皮膚附属器として身体の最外層を占め,外界からのあらゆる刺戟に対する緩衝地帯として対内保護を営み,また美容的役割をはたす.この毛髪の生理機能については組織化学的,内分泌学的および精神神経学方面から多くの研究がなされ,またその物理学的な性質についても古くから多くの研究,調査,測定が行われて来た.しかし,これら毛髪の構成成分,形態,発育,物理学的性質などの綜合的表現とも思われる毛髪の比重についての研究は案外に少ない.発生学的に毛髪が表皮,とくに基底細胞層に生ずる毛芽に発し,真皮中に延びて毛索となり,その周辺から毛管が,その尖端の真皮細胞集団から毛乳頭が生じ,毛球の増殖と角化によつて毛髪を生ずることを思えば,毛髪の性状が皮膚機能によつて影響されることは当然考慮される.もちろん,毛髪の発育には毛周期があり,成長期Anagen初期にある毛髪か,休止期Telogenに近い時期の毛髪かによつて多少の差のあることは考えられるが,毛髪の成長速度が季節により(0.30~0.54mm/day―須毛―Eaton),年令により(0.13~0.25mm/day―大腿―Myers),また夜と昼とでも異なる(Berthold)との成績は毛周期の如何なる時期においても毛髪の成長(発育),ひいてはその性状が皮膚機能の生理的変動と関連があると考えてよい.荒川教授一門の研究は皮膚生理機能の年令的な推移,性別差,季節的変動,部位的差異などを明らかにしている.従つて私は今回邦人健康者の毛髪比重について,その年令差,性別差,季節変動,部位差,毛幹基部と毛尖の差,毛根固着力と比重との関係を追求し,皮膚機能との関連を窺うことを目標としたのでその大要を報告する.
  • 洙田 明男
    1963 年 73 巻 2 号 p. 128-
    発行日: 1963年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    人類にとつて爪の存在価値,その生理機能が何であるかは明らかでない.たとえ動物の進化過程における遺残物であるとしても,毛髪とともに皮膚附属器官として,その発生,成長の様相は,皮膚のそれと関連し,観察に便利である.さきに私は健康者の毛髪比重を測定して皮膚機能との関係を検討したが,爪もまた全身の栄養,内分泌系,植物神経系等と関係が深く,内部臓器障害の指標として診断に役立つことは明らかで,古くから爪の生理,生化学,組織解剖学的方面から多数の研究,調査,観察がなされて来た.しかし爪の生理学的,化学的および解剖学的性状の綜合的表現と考えられる爪の比重に関する文献はほとんどみられず,ただLeiderらが白人黒人について測定を行つているにすぎない(1954).従つて今回は毛髪に引続き日本人健康者について爪の比重を測定し,年代的推移,季節的変動,性別差,部位による差を追求したのでここに報告する.
  • 1963 年 73 巻 2 号 p. 135-
    発行日: 1963年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
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