日本皮膚科学会雑誌
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神経櫛起源性組織の体外培養 第Ⅱ編 Recklinghausen母斑症における皮膚神経鞘腫の諸型の培養所見並びに病理発生に関する考察
田嶋 公子
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1964 年 74 巻 1 号 p. 22-

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抄録

Recklinghausen母斑症(R病)に見る皮膚の軟腫瘍,同症に見る表在性神経腫瘍並びに所謂neurilemomaを綜括する名称として,Verocay(1910)に従つて神経鞘腫(Neurinom)を用いる.神経鞘腫の起源に関しては,(1)Verocay,Antoni,Massonらによつて代表されるSchwann細胞説.(2) Foot,Mc Nairy & Montgomeryらの外胚葉性のSchwann細胞と神経周囲結合組織細胞の両者が腫瘍形成に関与するとする説,並びに(3)von Recklinghausen,Penfieldらの代表する結合組織説との3者が対立するかの観がある.神経鞘腫にその組織要素として,種々の量の結合組織が参加していることは常に見るところではあるが,Schwann細胞様要素をその原発性要素と考え,結合組織を二次的要素と看倣すMassonの説明が最も素直なように思われる.また近時,川村はR病を色素細胞母斑,青色母斑と共に神経櫛発生障碍によるものとし,それに関して西原(1953),上出一(1954),上出二(1954),寺田(1955),河﨑屋(1956),蔵(1957),和泉(1957),谷口(1957),田中(1958),入山(1960),木下(1960)等一連の研究があり,それぞれ神経櫛に由来することの証跡を挙げている.更に,神経鞘腫の培養に関してはMurrayらを始め優れた研究があり,神経鞘腫はSchwann細胞に由来するとされている.しかし今日なおその発生病理に関して諸説がある.著者は本編において,先ず文献に拠り神経鞘腫を神経櫛起源性,即ちSchwann細胞もしくは近縁細胞の腫瘍性増殖と看倣すことの妥当性並びに,それと関連ある重

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