抄録
癩の治療はPromin,Promizole,Diasone等化学療法剤の出現によつて畫期的の進歩を遂げ,特に斑紋,結節,潰瘍等に対する治療効果は瞠目に値するものがある.然しながら,癩の最も重要な症状の一つに属する神経障害 就中知覚麻痺,運動麻痺ならびに発汗障害等に対しては,発病初期のものは兎も角発病後数年を経過したものにおいては,これ等化学療法剤も殆んど効果がないといわれている.従つて,化学療法の弱点ともいうべき神経障害,発汗障害等の治療法を研究することは癩の治療法の完成という点からきわめて重要なことといわなくてはならない.昭和33年丸山・岸・松下は結核ワクチン(多糖体を主成分とする菌体成分ワクチン)による癩の治療成績について報告し,特に本ワクチンが癩の神経障害,発汗障害等に有効であることをのべている.我々は目下右研究をさらに続行中であるが,最近ワクチン研究上興味ある,またきわめて重要な事実について経験したので,その概略についてのべ併せてこれまでの治療成績を報告したいと思う.