日本皮膚科学会雑誌
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74 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 中島 嘉四雄
    1964 年 74 巻 3 号 p. 121-
    発行日: 1964年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    脂質蛋白は1929年,Macheboeufにより始めて馬血清より分離されて以来,その存在と分離法が諸家の注目するところとなり,1941年,Blix,Tiselius及びSvenssonは電気泳動法によつて得られた蛋白分劃を分析して,血清脂質の大部分(コレステロール,燐脂質,中性脂肪)はα及びβグロブリン分劃に含れることを報告した.現在血清脂質のすべては蛋白質と結合して,脂質蛋白を形成して血中に存在することは一般的な考えとなつており,臨床的には主として,濾紙電気泳動法が血清脂質蛋白の分劃に使用せられ,β分劃:α分劃比(脂質蛋白指数)が疾患の診断,経過及び予後の指標として重要視されているが,皮膚科領域においては森田の報告以外かかる検索は殆ど行なわれておらず,従来の報告の多くはいずれも乾癬,脂漏性湿疹に関する断片的な記載に過ぎない.よつて,著者は健常人並びに各種皮膚疾患について濾紙電気泳動法を用いて血清脂質蛋白,燐脂質及び総脂質の測定を行ない,脂質蛋白指数を中心に二,三の検討を試みたのでここに報告する.
  • 中島 嘉四郎
    1964 年 74 巻 3 号 p. 131-
    発行日: 1964年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    皮膚疾患における脂質代謝の動態は全身的並びに局所的検索の両者相俟つて,より正確に理解されるものと考えられる.前報において著者は血清脂質蛋白の主として濾紙電気泳動法による測定成績について述べたが今回は皮膚自体の脂質の測定成績について報告する.なお,一部症例では鱗屑及び水疱内容についても同様の検索を併せて行なつた.
  • 小倉 良平, John M. Knox
    1964 年 74 巻 3 号 p. 134-
    発行日: 1964年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    紫外線の有害作用から皮膚を保護するために諸種の紫タト線遮断剤が有効であることは,今日既に多くの報告にも確認されている.われわれの教室において,その1種であるクロロキン;Chloroquinium phosphate;7-chloro-4-(4-diethylamino-1-methylbutylamino)-quinoline diphosphateに関する経口実験を行ない,紫外線による紅斑並びに皮膚癌の発生が阻止されることを明らかにした.しかしこの紫外線に対する耐容量の増加機序については,今日なお良く説明がなされていない.
  • 丸山 千里
    1964 年 74 巻 3 号 p. 139-
    発行日: 1964年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    我々は昭和19年結核症のワクチン療法について研究を開始し,現在もなお続行中である.研究開始当時結核菌より特異抗原性物質を抽出し,これをワクチンとして皮膚結核症の患者に使用したところ好成績を収めることに成功し,昭和21年6月第1回の報告を試みた.その後臨床実験の成績を参考にワクチンの改良に専念し,その成績はすでに20数回にわたつて報告したが,最近協同研究者の参加をえて肺結核症の患者にも使用し予期以上の成績をあげることができた.このように,我々がワクチン療法の研究を続行している間に,結核症の化学療法に関する研究は瞠目に値する進歩をとげた.然しながら,最近化学療法の効果にも限界のあることが次第に明らかになつてきた.また,上記抗結核剤はその副作用或いは菌の耐性化等のため長期にわたる使用が不可能になる場合にしばしば遭遇する.ワクチン療法と化学療法は,その作用機序が全く異なるものと想像されるので,化学療法が限界に達した場合,すなわち病状の好転が期待できないような場合,作用機序を異にするワクチン療法を試みることは,確に一つの方法であるに違いない.このような考えのもとに,我々は化学療法によつて病状の好転しない結核症患者に対しワクチンを使用したところ,予期以上に好転した症例を多数経験することができた.すなわち,我々のワクチン療法は,最初よりワクチンを使用した場合(初回治療)は勿論,化学療法が限界に達した場合に使用しても奏効するということがいえるのであつて,これらの事実は結核症の治療に対してきわめて大きな意味を持つものと思う.我々のワクチン療法に関する研究は上述の通りかなりの年数に達しているので,ここに現在迄の研究経過の概略を述べ,大方のご批判を仰ぎたいと思う.
  • 飯田 康衛, 平井 敏之, 浦辺 清道, 福本 寅雄, 水野 綾子
    1964 年 74 巻 3 号 p. 165-
    発行日: 1964年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    結核の予防対策として,現在広く行われているB.C.G.皮内接種法が採用されるまでには,一方では賦与した免疫を安定させ,他方では接種局所の反応を軽減させるため種々の努力がなされてきた.このような努力にも拘らず,B.C.G.接種に当つて必ず問題となるのは,局所に発生した潰瘍にきわめて難治なものの存在することである.難冶の潰瘍をおそれる余り接種を嫌う傾向があるのは事実で,結核予防法実施の上に大きな障害となつていることは周知の通りである.従つて,潰瘍発生を未然に防ぐか,或いは発生した潰瘍を迅速,的確に治癒させる方法を完成することはきわめて重要なことであるが,一方このような方法がツベルクリン・アレルギーひいては生菌免疫にどのような影響を及ぼすかは,さらに重要な問題といわなければならない.我々のワクチン療法は最初皮膚結核症を対象として出発したものであるが.たまたま昭和27年BCG潰瘍に卓効を奏することが注目されて以来,症例をかさねワクチン療法の優秀性を確認することができたので,その大略をのべ,さらにワクチンによる潰瘍の治療とツ・アレルギーとの関係についての実験成績を一括報告する.
  • 塩沢 富美子
    1964 年 74 巻 3 号 p. 170-
    発行日: 1964年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    著者は実験的結核症(海猽)に対し結核菌体抽出物質(丸山)を使用して治療実験を行つたので,その成績について報告する.
  • 丸山 千里, 渡辺 芳子, 本田 光芳, 硲 省吾
    1964 年 74 巻 3 号 p. 174-
    発行日: 1964年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    癩の治療はPromin,Promizole,Diasone等化学療法剤の出現によつて畫期的の進歩を遂げ,特に斑紋,結節,潰瘍等に対する治療効果は瞠目に値するものがある.然しながら,癩の最も重要な症状の一つに属する神経障害 就中知覚麻痺,運動麻痺ならびに発汗障害等に対しては,発病初期のものは兎も角発病後数年を経過したものにおいては,これ等化学療法剤も殆んど効果がないといわれている.従つて,化学療法の弱点ともいうべき神経障害,発汗障害等の治療法を研究することは癩の治療法の完成という点からきわめて重要なことといわなくてはならない.昭和33年丸山・岸・松下は結核ワクチン(多糖体を主成分とする菌体成分ワクチン)による癩の治療成績について報告し,特に本ワクチンが癩の神経障害,発汗障害等に有効であることをのべている.我々は目下右研究をさらに続行中であるが,最近ワクチン研究上興味ある,またきわめて重要な事実について経験したので,その概略についてのべ併せてこれまでの治療成績を報告したいと思う.
  • 1964 年 74 巻 3 号 p. 181-
    発行日: 1964年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
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