抄録
慢性膿皮症は比較的発生頻度が低く,組織学的興味にも乏しいためか,今日の皮膚科学においても未だ十分な検討を受けていない.加うるに分類の混乱,同義語の錯綜は甚しく,教科書の記載においても統一的見解は見いだし難い,従つて個々の疾患に対する概念の把握も著しく困難であり,ここに報告する壊疸性膿皮症(pyoderma gangrenosum)についても不明の点が極めて多い.今回われわれはたまたま経験した心,脈管障害を伴なう壊疸性膿皮症3例に基づいてその臨床像を明らかにし,病因論的考察を試み,本症の概念を確立せんと企てた.やや冗長の嫌いもあるが,本邦において未だ報告例も少なく,Zurhelle u. Kleinらのpyodermia chronica papillaris et exulcerans(以下P.c.p.e.)と混同して報告される傾向もあるので詳述することとした.