抄録
皮膚色を評価するに当つて,肉眼的には相対的比較によつて微小な色差をも感ずることが出来る.それ故,同時に一対或いは1群の披検体に対して肉眼的な比色を行なえばかなり正確な評価が可能である.しかしながら肉眼的評価に基く定量的数値表現は厳密な意味では不可能である.又,比色の時期が異なる場合,一対の被検体が離れた位置に存する場合,或いは観察者が異なる場合には肉眼的比色はより困難となり,たとえ熟練した観察者であつても,その評価に主観が介入することは免れないであろう.従来,これを補う一つの方法として比色カードがしばしば用いられるが比色カードは連続的な全色を表現していないし,又,皮膚と比色カードの表面物性の相違により正確な評価は不可能である.