日本皮膚科学会雑誌
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小児乾燥型湿疹(局面性苔癬状落屑性湿疹〔北村・高橋・笹川〕)の研究
笹川 正二
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1967 年 77 巻 2 号 p. 62-

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抄録

小児湿疹の病型分類については後述するごとく種々の分類が行なわれ,いろいろな病名が用いられているが,北村包彦先生はいわゆる小児湿疹のなかに皮膚が乾燥した痩型の幼小児の躯幹を主として粟粒大小丘疹が集簇して局面をなし,湿潤することなく,瘙の劇しいものがあるのに気付き,第49回日本皮膚科学会総会に「小児湿疹の病型に就て」と題して小児湿疹を4型に分け,その第4型として局面性苔癬状落屑性湿疹の名称をあげてその存在を提案した.著者は爾来外来患者のかかる症状を呈するものに注目し,症例を集め,東京地方会第351回例会に「小児湿疹の研究」と題して,本症について述べ,それを皮膚科の臨床,第3巻臨時増刊号「湿疹と接触皮膚炎」に小児乾燥型湿疹として掲載した.著者は爾来十年近くにわたつて研究を継続し,その本態についても結論を得たので,ここにかかる病型の存在について記載したいと思う.本症の病名であるが,初め北村教授は本症が粟粒大苔癬状の丘疹が局面をつくり,しかも粃糠様に落屑することから局面性苔癬状落屑性湿疹と命名されたが,その後の研究により必ずしも局面が明瞭でない例もあり,かつこの病名はあまりに長いため一般に使うときに覚えにくく,乳幼児の湿疹が湿潤傾向が強いのに反して,本症は乾燥して湿潤しないことが最も特徴的であるところか

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© 1967 日本皮膚科学会
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