日本皮膚科学会雑誌
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円形脱毛症の組織学的ならびに組織化学的研究
内山 道夫
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1967 年 77 巻 7 号 p. 526-

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抄録
円形脱毛症は日常診療上かなり頻繁にみられる疾患であり,その研究業績も古くから多数発表されているが,病因に関しては未だ定説がなく,各症例共通の要因も殆んど認められていない現状である.本症には自然治癒が相当数あることが知られているが,いわゆる良性型の中でも短期間で治癒するものから,長期間単発性脱毛巣が固定したままのもの,治癒しても再発を繰り返すものなどがあり,また急速にあるいは漸次いわゆる悪性型(alopecia maligna,alopecia totalis,alopecia universa-lis等)に移行する症例もある.本症における最も顕著な変化は,毛,毛嚢にあることは当然であるが,このように不定の経過を示す本症毛嚢の変化については,諸家の見解はまちまちで,一定していない.すなわち,1929年Sabouraudは,本症毛嚢が発育不全ではあるが絶えず毛の産生を試みていることを観察し,1958年,1959年Van Scottも本症毛嚢が早期anagen(成長期)のそれに類似することを報告している.しかし1958年鳴海は,本症毛嚢が毛周期のcatagen(中間期)~telogen(休止期)の時期にあるとし,この所見は1959年竹崎,1961年園田によつても認められた.一方,1957年Kopf&Orentreichは,本症の病的毛嚢を健常の毛周期に当てはめることは出来ず,本症毛嚢は“miniature follicle”として示されると述べている.また,1962年,1963年,1965年Braun-Falco一派は,本症をgemischte AlopecieすなわちTelogenにある毛嚢とdystrophisches Anagenの毛嚢が混在している脱毛症であると述べている.1965年鳴海も本症の脱落する毛の毛根はtelogenの像を示すが,中に毛根の萎縮の著しいものも混在することを認めた.いずれにしろ,本症病巣部における毛嚢の形態自身についても,以上のごとく一定の帰着をみていない現状である.そこで著者は,本症における毛嚢の病態を多少なりとも明確にせんとし,主として単発性の円形脱毛症を対象として,経過に応じた毛嚢形態の変化を確認しつつ,同時に組織学的およびグリコーゲンの組織化学的観察を行ない,さらにアルカリフォスファターゼの組織化学に
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© 1967 日本皮膚科学会
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