日本皮膚科学会雑誌
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77 巻, 7 号
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  • 鈴木 靖雄
    1967 年 77 巻 7 号 p. 471-
    発行日: 1967年
    公開日: 2014/08/28
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    1)Catecholamine研究の歴史的考察 Adrenaline(以下Aと略す),noradrenaline(以下NAと略す),dopamineによつて代表されるcatecholamine(以下CAと略す)は,3,4-ジハイドロオキシフェニール核(カテコール核)を有するエチルアミン誘導体の総称である.その発見及び研究の歴史はかなり古く,1901年高峰,AldrichによるAの分離,1904年StoltzによるNAの合成に始まり,Embdenら(1903年),Elliot(1905年),Faltaら(1909年)と相次いで,交感神経作用因子としてのAの定性的分析が行なわれ,1910年Bargerらは,生体内にはA以外にもA様物質が存在するはずと報告した.1933年Cannonらは,交感神経刺激によつて分泌される物質を,sympathin E(excitatory),sympathin I(inhibitory)と称えたが,翌年Bacqは,sympathin E即ちNAであるという考えを明らかにした.1947年Holtzらは,正常尿中にNAの存在を認め,更にEulerらは,いわゆるurosympathinなる交感神経作用因子が,A,NA,dopamineの混合物であることを,paperchromatographyにより明示した.このようにCAに関する知見が徐々に蓄積されて来たとはいうものの,その発展の経緯は決して飛躍的なものではなく,むしろ他のホルモンに比べて甚だ立遅れた状態にあつたといえよう.それはCAの生成,代謝等の機序が極めて複雑であることはもちろんであるが,該物質が比較的不安定で,生体内に微量しか存在せず,かつ構造上化学反応上の類似物質が共存する等から,その定量が甚だ困難であつたことに由来する.CAが臨床医学において注目されるようになつたのは比較的近年に至つてからで,ほぼ1950年以降のことである.これには蛍光測定法,アイソトープ技術,クロマトグラフィー等の導入があずかつて力があり,これによつてCAの生合成,貯臓,遊離,分解,代謝等の解明に著しい発展をもたらした.即ち1950年BlaschkkoはCAの生合成について,次のような主要経路を確立し(第1図),現在多くの支持を得ている.一方代謝に関しては,CAがmonoamine oxidase(以下MAOと略す)によつて酸化的脱アミノ化をうけることは,既に1937年頃より知られていたが,1957年主としてArmstrongらと,Axelrodらの実積になるcatechol-O-methyl transferase(以下COMTと略す),A,NAの3-メトキシ化合物及び尿中主要終末産
  • 大野 弘之
    1967 年 77 巻 7 号 p. 492-
    発行日: 1967年
    公開日: 2014/08/28
    ジャーナル 認証あり
    アトピー皮膚炎の基本的な像は次の如く定義されている.1)枯草熱,喘息,アトピー皮膚炎及び関連疾患に対する高度な家族的傾向,2)日常食品及び吸入アレルゲンによる皮内反応陽性率の比較的高い傾向,3)血清中のP,K,抗体が正常より高い傾向,4)血液好酸球増加,5)熱,寒冷,外傷,感染,感情的緊張など種々のストレスに対する異常反応.病因論的にはレアギン(抗原抗体反応)とアトピー素質(自律神経系異常)と大きく2大別され,諸種の検索がなされている.しかしながら現在アトピー皮膚炎の診断にはatopic skinが重視され,特に小児乾燥型湿疹はアレルギーとは殆んど関係ないようである.アトピー素質としては,1)白内障との関連性,2)アルカリ中和能減弱,3)発汗減少,4)ヒスタミン固定能減弱,5)異常血管反応,6)脳波異常,7)摩擦により苔癬化などが挙げられるが,近時重視されているのは皮膚血管収縮素因である.わたくしはこの血管収縮傾向が小動脈層に認められるか,中枢性支配があるかについて,皮膚素因,薬理学的自律神経検査,プレチスモグラフ,脳波,ポリグラフを用いて血管動態の生理学的検索を行ない,アトピー皮膚炎の異常血管反応の解明の資とすると共に,いささかの見解を加えてここに報告する.
  • 中山 秀夫
    1967 年 77 巻 7 号 p. 504-
    発行日: 1967年
    公開日: 2014/08/28
    ジャーナル 認証あり
    コレステロールや脂肪酸等の脂質(以下略語表**に従つて脂質名を略記する)が皮膚に及ぼす影響には既に種々あげられており,臨床的に黄色腫,乾癬,脂漏性皮膚炎等の諸疾患について今日までに多くの業績がある.
  • 内山 道夫
    1967 年 77 巻 7 号 p. 526-
    発行日: 1967年
    公開日: 2014/08/28
    ジャーナル 認証あり
    円形脱毛症は日常診療上かなり頻繁にみられる疾患であり,その研究業績も古くから多数発表されているが,病因に関しては未だ定説がなく,各症例共通の要因も殆んど認められていない現状である.本症には自然治癒が相当数あることが知られているが,いわゆる良性型の中でも短期間で治癒するものから,長期間単発性脱毛巣が固定したままのもの,治癒しても再発を繰り返すものなどがあり,また急速にあるいは漸次いわゆる悪性型(alopecia maligna,alopecia totalis,alopecia universa-lis等)に移行する症例もある.本症における最も顕著な変化は,毛,毛嚢にあることは当然であるが,このように不定の経過を示す本症毛嚢の変化については,諸家の見解はまちまちで,一定していない.すなわち,1929年Sabouraudは,本症毛嚢が発育不全ではあるが絶えず毛の産生を試みていることを観察し,1958年,1959年Van Scottも本症毛嚢が早期anagen(成長期)のそれに類似することを報告している.しかし1958年鳴海は,本症毛嚢が毛周期のcatagen(中間期)~telogen(休止期)の時期にあるとし,この所見は1959年竹崎,1961年園田によつても認められた.一方,1957年Kopf&Orentreichは,本症の病的毛嚢を健常の毛周期に当てはめることは出来ず,本症毛嚢は“miniature follicle”として示されると述べている.また,1962年,1963年,1965年Braun-Falco一派は,本症をgemischte AlopecieすなわちTelogenにある毛嚢とdystrophisches Anagenの毛嚢が混在している脱毛症であると述べている.1965年鳴海も本症の脱落する毛の毛根はtelogenの像を示すが,中に毛根の萎縮の著しいものも混在することを認めた.いずれにしろ,本症病巣部における毛嚢の形態自身についても,以上のごとく一定の帰着をみていない現状である.そこで著者は,本症における毛嚢の病態を多少なりとも明確にせんとし,主として単発性の円形脱毛症を対象として,経過に応じた毛嚢形態の変化を確認しつつ,同時に組織学的およびグリコーゲンの組織化学的観察を行ない,さらにアルカリフォスファターゼの組織化学に
  • 1967 年 77 巻 7 号 p. 550-
    発行日: 1967年
    公開日: 2014/08/28
    ジャーナル 認証あり
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