抄録
ここ数年来,皮膚科学の歩みは従来の記載皮膚科学,病理組織学にかわつて生体の代謝面より皮疹を掴えようとする方向に向かつている.そして皮膚面に表現される病的現象の皮疹は,その病変の最初の段階でなんらかの生化学的な規定を受けることは充分考えられる.しかし皮膚に生じる諸現象を生化学的見地より解決するのは,他臓器とくらべて材料や測定法に数多くの制約を受け,困難な面が少なからず存在し,その進歩は非常に遅れている.従つてこの方面よりの研究はかなり以前より一部の人に注目されており,又近年Rothman一派の広範な研究もあるが未だ解決されないところが多い.著者は当教室における皮膚代謝に関する研究の一環として皮膚糖,糖原および血糖について後記の如き条件下でその動向を追求し,これら物質の皮膚代謝について若干の基礎的知見を得たので報告する.