日本皮膚科学会雑誌
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尋常性痤瘡における細菌学的研究
坂東 嫩葉
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1968 年 78 巻 4 号 p. 325-

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抄録

尋常性痤瘡の発症原因については,今日まで多くの研究が行なわれているが,なお決定的な原因は解明されておらず,内分泌ないし体謝異常,間脳自律神経機能異常,細菌感染など種々の要素が組み合つて,その結果発症するという考えが今日一般に支持されている.したがつて,本症の治療に関しても画一的なものがなく,その支持する病因論にしたがつて,各人各様の方法が行なわれている.例えば1962年の国際皮膚科学会においても,表在X線療法,紫外線療法,ホルモン療法などについて,論議が行なわれた.尋常性痤瘡を一種の細菌感染症と考える学説は,古くから唱えられているが,その原因菌については必ずしも一定しておらず,表皮ブドウ球菌,アクネ桿菌,黄色ブドウ球菌,大腸菌様最近,類ジフテリア菌があげられている.著者は,尋常性痤瘡の原因を細菌学的に検討し,本症発症に対する細菌の役割について,下記の実験を行なつた.その結果,1891年Unnaによつて発見されたCorynebacterium acnesが,本症発生に重要な役割を演じていることを,明らかにすることができたので,その所見を述べる.

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© 1968 日本皮膚科学会
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