日本皮膚科学会雑誌
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慢性エリテマトーデス血管内被細胞ライソゾームのクロロキン投与による変化
大橋 勝
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1969 年 79 巻 2 号 p. 77-

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抄録
慢性エリテマトーデス(以下慢「エ」)の真皮上層の血管内被細胞内に多数のライソゾームが出現することおよびクロロキン投与後その形態が変化してmyeloid型ライソゾームが多数を占めることは先に報告した.「エ」の発生病理上でライソゾームが何らかの役割をはたしているのではないかという推論は早くから唱えられており,WeissmannとThomasはSLEの臨床像のうち次の二つは結合織の障害がライソゾームの障害とその酵素の遊出という現象でよく説明できると述べている.(1)はSLEの日光による増悪であり,このような症例では巨大水疱形成を見ることがあること,(2)はSLEおよびその類似疾患で副腎皮質ホルモンが著明な抑制効果を示すこととその中止後著明なreboundがみられることを上げている.そしてSLEおよびその類似疾患の発生病理上どこかの部分でライソゾームの関与が考えられ,この障害が一次的なものであるかまたは「エ」で多く見られる自己免疫現象の結果なのであるかは不明であると述べている.WeissmannらはさらにライソゾームのLabilizerであるビタミンAによる皮膚過敏性誘発をSLEにおけるライソゾーム酵素の関与を推論している.またWeissとDingleは膠原病に伴う退行性変化が結合織細胞のライソゾームよりの水解酵素の遊出によるものではないかとの考え方と膠原病でよく知られている免疫的な異常との関係を知るために,ライソゾームの膜破壊が抗ライソゾーム抗体で生じ得るか否かを実験的に確め,抗ライソゾーム抗体は分離したライソゾームに作用してその酵素遊出を来たさないが,細胞に作用させるとライソゾーム酵素の遊出を見ることを報告している.一方治療的観点から見るとクロロキンおよびその誘導体が「エ」特にその慢性型に有効なことはよく知られた事実で,「その著しい抑圧効果によつてそれ以前の時代の皮疹の華やかさを失いつつあるように見える」といわれる程である.伊藤らの報告では自験および文献上よりアテブリンの有効率は545例中450例で86%,石原はクロロキンの有効率は「慢エ」で27例中24例,88%と報告している.伊藤らはさらにこの薬剤の適応について,効果は皮疹が小さくかつ発病後日の浅いものほど効果が著るしく,紅斑を主とする病像に有効である点を強調している.またこの薬剤は中止すると高率な再発を見る点はよく知られており,例えばWinkelmannらは67例中50例,74%の再発率を報告している.クロロキンがライソゾームと関係がある点については,Zvaiflerはクロロキンを投与したラットの肝細胞内での分布が核及びミトコンドリア・ライソゾーム分劃中に存在すること,及びAllisonらの培養細胞内へのクロロキンのとりこみがライソゾームで行なわれることが報告されている.またクロロキンとライソゾームとの関係のもう一つはWeissmanによりクロロキンはライソゾーム酵素の活性には影響を与えずに紫外線,streptolysin SまたはLysolecithinによるライソゾーム膜の破壊を防ぎ,ライソゾー
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