日本皮膚科学会雑誌
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Bowen病における表皮増殖の1組織所見
北村 包彦
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1970 年 80 巻 12 号 p. 900-

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抄録

各種皮膚病変の組織に表皮細胞,その構築,排列に変状を認め,それは表皮内部に生じた,専ら物理的作用に基づくとしか思えない場合がある.多く見られるのは表皮増殖の辺縁部,或はまた表皮内水疱の壁で個々の細胞乃至細胞層が著しく圧平,濃染され,その構築,排列に歪みの見られる状態で,それは表皮細胞増殖の,または水疱形成の機械的圧迫の結果と考えるのが最も自然である.著者は基底および有棘細胞癌,PagetおよびBowen病と,総じて皮膚表皮腫を対象に思立つた1つの観察として,表皮細胞の異常増殖が細胞,その構築,排列に及ぼす斯種物理的作用の結果と思われる所見を求めて,小嶋理一教授から借覧した,東京医科大学皮膚科教室所蔵のうち10数例の組織標本を検索して,偶々Bowen病の1例で次のものに出会つた.

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© 1970 日本皮膚科学会
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