日本皮膚科学会雑誌
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貼布試験標準化の基礎的研究
川村 太郎笹川 正二増田 勉本田 史朗木下 正子原田 昭太郎石崎 達永井 隆吉広川 浩一安西 喬姉小路 公久肥田野 信川野 正池上 一郎佐藤 重男青山 卓夫
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1970 年 80 巻 5 号 p. 301-

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抄録

近年科学の進歩に伴い数多くの化学製品が次々に開発されているが,これらのうちには接触アレルギーを起こす可能性のある物質が少なくなく,職業的にあるいは日常生活において,これらの物質に接触する機会が多くなつたため,アレルギー性接触皮膚炎は次第に増えてきつつある.アレルギー性接触皮膚炎は,接触抗原によりアレルギー性機序により起こるものであるから,臨床的にも接触物により発症したことの明らかな接触皮膚炎の像をとることが多いが,急性あるいは慢性湿疹,貨幣状湿疹などと臨床的に診断されることも決して少なくない.貼布試験は患者の皮膚に少量の疑わしい物質を貼布し人工的に小範囲にアレルギー性接触皮膚炎を起こさせることにより原因抗原を探索する検査法であるが,上述したように接触皮膚炎は勿論のこと,従来素因の重視されていた湿疹でも一応routineに行なわれなければならない検査法である.欧米では貼布試験は既に長年にわたつて普及し,また市販の抗原セットもできているが,本邦では少数の施設ないし研究者によつて行なわれているが,一般化には程遠い状態である.最近北欧4ヵ国でも貼布試験を標準化するため委員会がもたれているが,われわれも本邦における貼布試験の標準化の第一段階として,貼布試験抗原の至適濃度おでび基剤をきめるため,昭和40年2月より昭和41年5月にわたつて材料および方法を統一して協同研究を行なつた.欧米の研究を参考にして最も有用と思われる49種の抗原を選び,それらの欧米における基剤および至適濃度あるいは使用濃度をそのまま使うことができるかどうかを調べ,本邦におけるそれらの基剤および至適濃度をきめ,またそれらの至適濃度における貼布試験場性率を集計して東京地方の標準系列をつくる参考とした.なお至適濃度とは過敏性のある大多数の人に陽性反応を起こししかも過敏性のない大多数の人に非特異的一次刺激によ

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