日本皮膚科学会雑誌
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人皮膚におけるリゾチーム量―抽出法および皮膚内分布―
小川 秀興
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1971 年 81 巻 2 号 p. 135-

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抄録

1922年Flemingにより発見されたリゾチームは広く動植物の器官・分泌液中に多く含まれ,人においては白血球・涙・唾液・乳汁等に見出されている.これは生体防御機構に関与する重要な酵素であると考えられているが,皮膚についての研究は少なくLissは乾癬の鱗屑中にリゾチーム活性を見出し,J. Klenhaは0.1MKCl-0.15 M Sorenson phosphate buffer PH 6.2を用いてHairless mouseの皮膚および人の皮表からリゾチーム活性を見出し,Sephadexを用いての分子量が約15,000であることとPH. Optinumが5.9であるという2点より,恐らくはリゾチームであろうとしている.しかし,その含量は非常に低く,果して生理的意義を持ち得るかに疑問がある.そこで,人の皮膚を用いてリゾチームの抽出法および皮膚内分布について検討した.材料は植皮時得られた皮膚,若しくは皮膚疾患なく,また検査所見の比較的正常な剖検例の躯幹正中部より得られた皮膚を用いた.

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© 1971 日本皮膚科学会
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