抄録
ヨード・デンプン反応を利用した発汗検査法は臨床的に広く使われているが,Minor法,Randall法,和田・高垣法などのこれまでの方法は,外来診察場において大量の患者を検査したり,発汗の状態を客観的記録に残したりするには難点があったので,改良を試みた.デンプン粒子は粉の状態やヒマシ油に浮遊させた状態では扱いにくいので,デンプンを寒天液の中に浮遊させ,スライドガラスの上に注いで乾燥させることによってスライドにデンプンの薄膜を作った.このデンプンスライドを使って従来通りの方法,即ち,ヨードを皮膚に塗り,デンプンスライドを当てて発汗を観察することができた(第Ⅰ法).この方法によると,これまでのヨード・デンプン反応を利用した発汗検査法に比べ,はるかに短時間の汗との接触で発色する.またスライドを交換することによって,ヨードが残っている間は経時的観察ができる.精確な経時的観察をするためにはヨードを皮膚に塗らない工夫が必要だと考え,スライドの方にヨードを塗ることを試みた.デンプンスライドにヨードを塗り乾かせると後を皮膚表面の汗と接触させるだけで発色が起った.残ったヨードは後で除去できる(第Ⅱ法).またデンプンスライドを皮膚に当て,汗を写し取ってからスライド上にヨードを塗っても発色がおこる(第Ⅲ法).第Ⅱ法は第Ⅰ法とほぼ同程度の感度を示し,第Ⅲ法はかなり劣る.これらの方法は手技が簡便であり写真撮影により精確な記録を残せるので,これまでの発汗検査法ではできなかった研究を可能にする.