日本皮膚科学会雑誌
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点状集簇性母斑の臨床的並びに病理組織学的検討殊にエクリン中心性母斑について
森嶋 隆文遠藤 幹夫今川 一郎森岡 貞男
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1975 年 85 巻 9 号 p. 509-

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抄録

点状集簇性母斑16例の臨床所見と病理組織学的所見とを対比しつつ検討し,そのえられた成績から本母斑は少くとも3病型に分類しうることを知った.I 型とは,臨床的には楕円形の褐色々素斑上に,硬毛を有するところの,同大の毛包性黒色丘疹が等間隔に多発集族し,病理組織学的には毛包中心性の母斑細胞巣と網状層中層から下層にかけての帯状に配列する浸潤性母斑細胞巣とからなる.II 型とは,臨床的には楕円形の褐色々素斑上に,同大の黒色小色素斑が集族し,中央部では融合して漠漫性黒色々素斑を形成し,病理組織学的には母斑細胞が真皮浅層では集塊状に,その下方ではエクリン汗管,ときに毛包周囲に限局性に認められる.Ⅲ型とは,臨床的には不整形の褐色々素斑上に,大小不同を示す暗褐色ないし黒褐色の小色素斑が不規則に多発し,病理組織学的には表皮突起部あるいは真皮内の母斑細胞が主としてエクリン汗管周囲に限局してみられる.I 型およびⅡ型の皮膚剥削術後の再発機序に関する研究結果から,これら病型においても母斑細胞の増殖が毛包やエクリン汗管と病理発生的に密接な関係をもっているものと憶測される.以上の記載から明らかなように,三島が言うエクリン中心性母斑,す・なわち母斑細胞がエクリン汗管周囲に増殖する病型は著者らの分類に従うと Ⅲ 型ということになる.かかる病理組織学的特徴は播種状色素細胞母斑を併発した巨大色素細胞母斑例にみちれた黒色小色素斑にあっても観察しうることを見出した.なお,発生病理に関し,エクリン汗管周囲にみられる母斑細胞は汗管壁に存した nevoblast に由来するものと考えたい.

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