日本皮膚科学会雑誌
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Lymphomatoid Papulosis -幼児発症例の特異な臨床像と浸潤細胞の形態的特徴-
加藤 三保子杉山 貞夫神保 孝一
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1977 年 87 巻 11 号 p. 647-

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抄録

Lymphomatoid papulosis の1症例を2年間経過観察し,その臨床像ノ光顕像,電顕像を報告した.併わせて,過去の報告例との比較検討を行った.又,本疾患の概念についても検討を加えた. 自験例は4歳時に発症した7歳男子.躯幹,四肢に,赤色丘疹,圧痛を伴う結節性発赤腫脹の出現,消退をくり返す.丘疹は主として躯幹に,結節性皮疹は四肢に存在する.両皮疹共中心部に水庖形成を伴い数日で出血性壊死に陥る.丘疹は1~2週間で多くは癩痕を残さず,結節性皮疹は大きな潰瘍形成,癩痕化という過程を経て数力月で各々自然治癒する.皮疹出現に先立ち高熱が必発する.その他皮膚症状以外に特に全身状態の異常を認めない.光顕下では,真皮上層より皮下脂肪織にかけて島嶼状配列をとるリンパ球性細胞浸潤が主体である.これらの細胞は種々の異型性を示し,細胞分裂像も散見された.電顕下で,これら異型細胞は種々の分化段階をとるリンパ芽球性細胞であることか示された.特徴的なことは,これら異型リンパ球細胞質内に dense cored granule を認める事である.これらの所見より,本組織像の性格は reactive lymphocytic hyperplasia であることが示唆された

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