1. reticulohistiocytoma の1例を報告した. 2.自験例で行った病理組織学的,組織化学的並びに電顕的検索の結果,本症に特異的なスリガラス様細胞質を有する大型組織球並びに巨細胞は,しばしば赤血球やヘモジデリンを貪食し,組織化学的に酸性フォスファターゼ活性強陽性を示し,電顕的には二次ライソゾームを豊富に含むことが観察された. 3.上述の所見から勘案すれば,本症で主体をなす細胞は充分に分化し,貪食能の旺盛なものであることか示唆される. 4.本症と histiocytoma 並びに juvenile xanthogranuloma とは,いずれも臨床的に自然消槌あるいは退縮を示し,組織学的には反応性肉芽腫性炎症の所見を呈する点において,極めて類縁関係にあることが推測され,これら3者を広義の histiocytoma として一括する立場に賛同した. 5.本症の呼称について私見を述べた.reticulohistiocytoma は皮膚にのみ限局する皮膚型と,発熱,関節痛等の全身症状を伴い皮膚の他に滑液膜,粘膜,骨等も侵す全身型とかあるが,いずれも比較的稀なる疾患である.このうち皮膚型は本邦ではこれまでに7例を数えるにすぎない.我々は reticulohistiocytoma の皮膚型の1例を経験したので記載すると共に若干の考察を記したい.
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