日本皮膚科学会雑誌
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紫外線(UV-A)照射により出現するマウス皮膚メラノサイトの起原および分化過程の生物学的特性
上杉 孝
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1978 年 88 巻 11 号 p. 685-

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抄録

紫外線 (UV) 照射後に出現する表皮メラノサイト (MC) の数的増加の機序を明らかにする為,C 57BL/6 マウスを実験モデルとして選んだ.同マウス背部,足根部皮膚には,照射前には活性 MC は皆無であったが,UV-A (320~400nm) を連続14日間照射した所,活性 MC が出現した.これ等活性 MC の出現過程は4時期に分けられ得た.少数ながら照射第3期(6~7日目)には分裂像を示すMC (1.7~2.2%)が認められた.電顕下にて,活性 MC は,照射前より存在する不活性,DOPA 反応陰性 MC が活性化したものに由来する事が分かった.不活性 MC は, (a)樹枝状を呈し, (b) メラノソーム (MS), ラングルハンス顆粒等の特異的顆粒を有せず,(c)少数の細胞内小器官と, 100Å フィラメソトを有する細胞であった.電顕組織化学にて,これ等不活性 MC は UV 照射後,明らかなMSを産生する以前に DOPA 陽性小空胞,ゴルジ装置を有していた.これ等所見より UV 照射後に出現する MC は(a)既存の不活性 MC の活性化及び,(b)これ等細胞の分裂・増殖によるものであると考えられた.

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© 1978 日本皮膚科学会
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