紫外線 (UV) 照射後に出現する表皮メラノサイト (MC) の数的増加の機序を明らかにする為,C 57BL/6 マウスを実験モデルとして選んだ.同マウス背部,足根部皮膚には,照射前には活性 MC は皆無であったが,UV-A (320~400nm) を連続14日間照射した所,活性 MC が出現した.これ等活性 MC の出現過程は4時期に分けられ得た.少数ながら照射第3期(6~7日目)には分裂像を示すMC (1.7~2.2%)が認められた.電顕下にて,活性 MC は,照射前より存在する不活性,DOPA 反応陰性 MC が活性化したものに由来する事が分かった.不活性 MC は, (a)樹枝状を呈し, (b) メラノソーム (MS), ラングルハンス顆粒等の特異的顆粒を有せず,(c)少数の細胞内小器官と, 100Å フィラメソトを有する細胞であった.電顕組織化学にて,これ等不活性 MC は UV 照射後,明らかなMSを産生する以前に DOPA 陽性小空胞,ゴルジ装置を有していた.これ等所見より UV 照射後に出現する MC は(a)既存の不活性 MC の活性化及び,(b)これ等細胞の分裂・増殖によるものであると考えられた.