抄録
細胞性免疫能のパラターターとして各種遅延型皮膚反応(PPD ・DNCB ・PHA)を測定し,これと現時点において免疫の conductor の役割を担うとされている T リンパ球の末梢血における百分率と絶対数を測定してその相関の有無を検討した. 対象は腫瘍性疾患24例,非腫瘍性疾患26例の計50例である. 1)各種遅延型皮膚反応間には有意の相関がみられたが PPD と DNCB・PHA との間には解離例がみられた. 2)末梢血 T リンパ球百分率と遅延型皮膚反応とには相関がみられたが,T リンパ球絶対数と遅延型皮膚反応の間には有意の相関は認められなかった. 3)末梢血Tリンパ球絶対数が600/cmm以下であった症例では遅延型皮膚反応は全て陰性であった.以上の知見より,遅延型皮膚反応と末梢血 T リンパ球百分率・絶対数の関係について若千の考察を加えた.