抄録
Hyperkeratosis lenticularis perstans の微小な初期の皮疹を採取, -SH 基特異的蛍光染色(DACM染色)を行い,-SH 基,S-S 結合の変化を観察した.遊離の -SH 基による蛍光は,基底細胞では基底膜への突起状として明瞭にみとめられ,有棘細胞上層から顆粒細胞にかけて細胞膜に著しい蛍光がみとめられた.又,基底細胞,有棘細胞,角層細胞の細胞膜部分,基底細胞の核小体にも蛍光がみとめられた.これらの正常人表皮細胞でもみとめられる所見の他にこの皮疹に特徴的所見として病変の中心部の顆粒細胞,角層細胞の細胞質内にびまん性の強い蛍光がみとめられた.このような蛍光は S-S 結合のみによる蛍光反応ではみとめられなかったので,この疾患の皮疹部の穎粒層で -SH 基に富んだ蛋白が大量に生じ,しかも酸化されない状態で存在していることを示している.又,基底細胞の基底膜への突起の一部に点状の強い S-S 結合による蛍光が観察された.