日本皮膚科学会雑誌
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筋線維周囲にlgG沈着をみたEosinophilic fasciitis の1例
土田 哲也滝沢 清宏古江 増隆原田 昭太郎
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1981 年 91 巻 12 号 p. 1311-

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抄録

四肢遠位部のびまん性皮下硬化,それに伴う関節拘縮,及び肢端壊疸を主症状とする Eosinophilic fasciitis と考えられる21歳女性例を報告する.好酸球・形質細胞・リンパ球浸潤を主とする dermopanniculitis, fibrosis などの組織所見,高γグロブリン血症,抗核抗体陰性という血清学的所見,及び筋電図で myopathy の所見を呈した 明瞭な visceral involvement はなく,治療上ステロイド内服に反応した.しかし,皮下硬化が四肢遠位部でしかも左右対称性といえない点,レイノー現象を伴い肢端壊疸が認められる点,末梢血液の好酸球増多が明瞭でない点などは Eosinophilic fasciitis という診断に問題を残した. また螢光抗体直接法では,筋線維周囲に lgG の沈着,リンパ球機能検査では helper T cell, suppressor T cell 機能のいずれもの機能低下といった興味あるデータが得られた.

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© 1981 日本皮膚科学会
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