日本皮膚科学会雑誌
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ヒトのマイスネル小体の形態学的研究,とくに加齢による変動の形態計測的検討
松岡 伸
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1981 年 91 巻 14 号 p. 1761-

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抄録

皮膚の感覚受容器の1つであるマイスネル小体の加齢に伴う変化を20歳台から70歳台にわたる正常ヒト手指にて観察した.鍍銀法による神経線維染色では,マイスネル小体内神経線維は加齢とともに形態的に変化する.マイスネル小体に入る有髄神経線維を検討したところ,各年代間を通じて数は1本ないし2本がほとんどで,最高は4本である.部位的には,多くがマイスネル小体の近位の部位から入る.形態計測的検討より,マイスネル小体は加齢に従い大きさを増すが,70歳台ではむしろ減ずる.また大きさの変化は主として長軸方向に起るが,60歳台では短軸方向にも生ずる.加齢に伴いマイスネル小体は複雑な形態を示すが,これはねじれのためと思われ,またこの変化が特に顕著に起る年代かおるのを確かめた.加齢によるマイスネル小体の大きさの変化は,層板細胞の大きさの変化が主体であると考えられる.

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© 1981 日本皮膚科学会
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