1977年,Esterly らが初めて報告した eruptive vellushair cysts に相当すると考えられる本邦第1例を報告した.組織学的には嚢腫は顆粒層をもつ表皮性嚢腫であり,嚢腫内に層状角質物質と,多数の軟毛断片を入れている.また毛包が嚢腫壁に連続している像が認められた.同一組織標本中に,導管構造のない脂腺をもった毛包や,峡部が高度に弯局して太い起毛筋を伴った異常な毛包がみられた.これらの所見は,本症の発症に毛包の形態学的異常が関与していることを示唆している所見と考えた.また獣毛の嚢腫壁貫通像,真皮内の獣毛を中心とした肉芽腫反応などは,本症の自然消褪現象と関連ある所見と考えた.