日本皮膚科学会雑誌
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抗T血清の作製とその特異性の検討
原 紀正
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1982 年 92 巻 4 号 p. 481-

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抄録
新鮮及び凍結保存の各胸腺ならびに T 白血病細胞をそれぞれ抗原とした3種の抗T血清を作製し,それらの特異性について検討し,以下の結果を得た. 1)3種の抗原の各3XI07個/mlの細胞数を1回の注射量として,週1回では6~8回,月1回では4回以上の皮内注射を行なうことにより抗 T 血清を作製したが,いずれも高力価を示した. 2)抗胸腺細胞血清の作製には凍結保存した胸線細胞を抗原とした場合でも充分にその目的は達せられることが証明された. 3)3種の抗T血清を用いた蛍光抗体間接法による検索で, E-RFC 及び EAC-RFC の塗抹標本に対しては,E-RFC の細胞膜に蛍光陽性であったが, EAC-RFC には陰性であり,また胸腺,リンパ節,牌臓及び扁桃の各T細胞分布に関しては,これら臓器のいずれも胸腺依存領域に蛍光陽性細胞の局在を認めたことから,3種の抗T血清はいずれも T 細胞に対して高い特異性を有するものであることが明らかにされた. 4)抗 T 白血病細胞血清は胸腺に対しては髄質細胞にのみ高い特異性を示し,また E-RFC 75% の正常末梢血リンパ球に対しては 57.3% の細胞障害指数を示した. 5)ロゼット形成法では不明であった1例の悪性リンパ腫白血化例の細胞形質が,本抗 T 血清の使用によってT細胞性であることか明らかにされた.
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© 1982 日本皮膚科学会
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