日本皮膚科学会雑誌
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皮膚アミロイドーシスの臨床,病理学的研究 -皮膚アミロイド物質の産生沈着機序を中心として-
平井 昭男
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1982 年 92 巻 9 号 p. 987-

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抄録

慶大皮膚科にて経験した P 型,M 型,MP 型アミロイドーシスの症例を中心として,それらを臨床および病理組織学的に検討し,さらに免疫組織化学的および電顕的所見も加え,各々の観察結果より,皮膚アミロイド物質の産生沈着機序に表皮細胞成分が関与し,慢性炎症が大きな要因になっていると考えた.即ち,免疫組織化学的検索では,蛍光抗体法および酵素抗体法(PAP法)を用い,皮膚アミロイド物質は AA や AL とは異なり,ケラチン線維成分か含まれていることを確認した.また電顕的に真皮に沈着せるアミロイド物質と表皮細胞内微細構造との間に表皮細胞間のアミロイド様物質を通して移行がみられ,さらに貼布試験陽性後色素沈着部にアミロイド様物質の沈着をみた.以上,臨床,病理組織化学的検索および貼布試験の結果にても皮膚の長期にわたる炎症機転の関与を裏づける知見を得た

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© 1982 日本皮膚科学会
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