抄録
当教室におけるMycobacterium marinumC 以下 M,marinum) 皮膚感染症13例の分離菌株を用いて,ST 合剤,その成分である sulfamethoxazole および trimethoprim のM. mariniun に対する最小阻止濃度 (MIC) を測定した. MIC は ST 合剤では13株中11株が, sulfamethoxazole では13株すべてが 1.56~6.25mcg/ml であった.これに対して, trimethoprim は 12.5~1l00mcg/ml の範囲にあった.ST 合剤および sulfamethoxazole はその MIC および内服時の血中濃度を勘案すると, M. marinum 皮膚感染症の治療剤となりうることが示唆された.一方, trimethoprim 単独の治療効果は期待薄で,sulfamethoxazole との合剤においてもその相乗効果はほとんど期待出来ないことが示された.