日本皮膚科学会雑誌
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93 巻, 10 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 宇野 明彦, 堀嘉 昭, 斎田 俊明, 関 利仁, 大原 国章, 久木田 淳, 平野 寛
    1983 年 93 巻 10 号 p. 1021-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
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    ヒト正常皮膚と皮膚の上皮性腫瘍である有棘細胞癌, Bowen 癌, Bo wen 病,基底細胞上皮腫を材料にし,これら細胞におけるレタチン結合部位及び細胞膜におけるレクチソ結合様式について,ペルオキシダーゼ標識レクチン(Con A, RCA, WGA, PNA)を用い電顕的に検索した.特に正常ケラチノサイトと悪性上皮性腫瘍細胞との比較検討を行い,下記の如き結果を得た.尚,材料は全て前固定し,レクチンと反応させた凍結切片の厚さは 20μm とした. 1.レクチン結合部位 : Con A では細胞膜及び細胞内膜系に結合部位が認められたが RCA, WGA, PNA の結合部位は細胞腹に限局して認められた.これらの所見は全ての材料で同一であった. 2.細胞膜のレクチン結合様式:ヒト正常皮膚表皮では4種類のレクチン共細胞膜全周にわたり連続性に陽性反応が認められた.悪性上皮性腫瘍細胞では WGA 結合部位を示す DAB 反応産物が正常ケラチノサイトと比較して,厚く,豊富に観察された.基底細胞上皮腫では PNA 結合部位を示す DAB 反応産物が他の3種類のレクチンの場合と様相を異にし数珠状に連なって豊富に分布する傾向を呈した.これらのことら細胞膜複合糖質糖鎖構造の違いが推測された.
  • 麻生 千鳥, 今村 隆志, 永井 純子, 原 曜子, 安野 秀敏, 藤田 英輔
    1983 年 93 巻 10 号 p. 1027-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    1)家族性高コレステロール血症(以下高・「コ」血症)の皮膚弾性線維には,Ca 沈着を伴う変性像がみられた. 2)変性弾性線維は, matrix の細線維化, matrix 内穴様構造の出現,さらに matrix の電子密度の増加及び断裂化を示した. 3) matrix 内穴様構造は「コ」投与による実験的動脈硬化症での弾性線維の matrix 内脂質滴の所見を参照すると,脂質性の物質である可能性が推察される. 4) Ca 沈着は,上記の変性弾性線維の matrix 内における高電子密度の針状結晶様構造として観察された. 5)膠原線維には,変性や Ca 沈着を示す所見は認められなかった.
  • 石井 正光, E. Paul, K. Aigner, L. Illig
    1983 年 93 巻 10 号 p. 1037-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    18例の悪性黒色腫患者の上下肢に発生した転移巣に対して体外から高温潅流治療を施行した.薬剤としては melphalan, actinomycin-D, DTIC, cis-platinum を単独に又は併用して用いた.治療効果の判定後,種々の期間において切除した43個の in-transit の小転移巣につき蛍光法 (Falck・Hillarp) を用いて,6個の小転移巣については電顕法を用いて黒色腫細胞の変化を観察した.潅流後数日で切除したものの多くは,腫瘍細胞の蛍光は激減又は消失していた.これらの腫瘍細胞の変化の程度は局在部位,局在様式により差異がみとめられた.電顕的には種々の程度の腫瘍細胞の変化または損傷が観察され,核の空胞化,分葉,延長,崩壊が,細胞質ではミトコンドリア空胞化,内包物質の出現,細胞膜の崩壊までがみられた
  • 石橋 康正, 井上 由紀子, 竹原 和彦, 古江 増隆, 久木田 淳
    1983 年 93 巻 10 号 p. 1045-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    21歳,女子の典型的 Pringle 病患者につき,顔面の巨大懸垂状線維腫及び所謂脂腺腫を体外培養し,遊出する非上皮性細胞(ONEC)の分裂像を経時的に観察,次の結果を得た. 1)ONEC の分裂像は,各培養組織に共通して概して小・中型の細胞に多く見られ,大きさが増すにつれてその頻度を減じ,特に大型のものでは希であった. 2)分裂時間は細胞によって必ずしも一律ではないが,一般に小・中型のものでは短いものが多く,大型になるにつれて長いものがふえる傾向が認められた. 3)分裂の結果は細胞により必ずしも一様でなく,殊に大・中型細胞は分裂中期に chromosome (Ch) が細胞中心部に整列する際,部分的配列,偏在,整列不能等の不備を示し,その後の分裂に著しい遅滞を来たし,その結果,i) 大,小瘤状の隆起を形成,その一部を細胞外に放出して2個に分裂, ii)大きさの不均等な大,小2個に分裂, iii)極小“細胞”を形成して3個に分裂,  iv)一旦数個に分裂するが,多くは後に融合して2個に復す,V)分裂が全く不能で1個となる, vi)分裂後多核を形成する等,主としてC-mitosisを示唆する様々な異常を示した. 4)以上の所見から,これら ONEC には, Ch の分配機構,即ち“centriole-microtubulus・centromere system ”,殊に microtubulus 関連機構の形成乃至機能に障害があることが推測された.
  • 長谷 哲男, 田中 盛久, 中嶋 弘, 永井 隆吉, 相原 雄幸, 加藤 清, 松永 敬一郎, 奥田 研爾
    1983 年 93 巻 10 号 p. 1059-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    卵白リゾチーム(HEL)を用いて, HEL 特異的T細胞増殖 (HEL-specific T cellproliferation) を行ない,この反応系に対するサプレッサー T 細胞について検討した. HEL 特異的 T 細胞増殖における応答細胞は,抗 Thy 1, 2 血清.抗 Lyt-1 血清,抗lak 血清と補体処理により応答性が失なわれた. HEL 特異的 T 細胞増殖に対するサプレッサー T細胞は, HEL 修飾牌細胞静注7日後の同系牌細胞中に認められた.そのサプレッサー活性は,抗 Thy 1, 2 血清,抗 Lyt-1 血清,抗 Iak 血清,抗 I-Jk 血清と補体処理により失なわれた.また抗イディオタイプ抗体と補体処理によっても失なわれた.このサプレッサー T 細胞を凍結融解して得られた細胞抽出液中にも同様のサプレッサー活性が認められた.
  • 石田 修, 本間 光一, 神保 孝一
    1983 年 93 巻 10 号 p. 1069-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    肛門直腸部に発生した悪性黒色腫の1例を報告した.本疾患は希な疾患であり,その発生率は全悪性黒色腫の 10% 以下である.その予後は,自験例でもそうであったがきわめて悪く,5年生存率は 10.7% である.肛門粘膜にはメラノサイトが存在するが,同部の悪性黒色腫の大多数は直腸に浸潤し,一般に肛門直腸黒色腫と名称されている.その発生原因として,肛門部移行帯の発生学上の不安定さ,排便による慢性の刺激などが推察された.本疾患の治療は外科的切除が主体で,化学療法は,皮膚原発の悪性黒色腫のごとく有効に施行されてはいない.本疾患は早期より血行性・リソ八行性転移を起こすので,DTIC , ACNU , VCR 等の化学療法の積極的な施行の考慮が必要である.
  • 権東 明
    1983 年 93 巻 10 号 p. 1075-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    抗原と臨床症状との間に何らかの因果関係を認めた Atopic dermatitis 91 例, Atopic urticaria 50 例に,Neutralization Method (Miller) を応用した特異的減感作療法を行ない,この両疾患における I 型アレルギーの意義を,呼吸器系アトピー性疾患と比較検討した.その結果,両疾患とも呼吸器系アトピー性疾患と同様のアレルギー検査成績を示し,その発現機序あるいは病変の修飾にI型アレルギーの密接な関与を示唆した. また,本法による Blocking Antibody の産生は IgE Antibody の産生を著明に抑制し,各種のアレルギー検査成績に改善を示した.その改善率は Atopic dermatitis で 90%, Atopic urticaria で 86%, Allergicrhinitis で 88% と好成績であり,増量法にみられるような副作用は全例に認められなかった.
  • 新井 裕子
    1983 年 93 巻 10 号 p. 1091-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    当教室におけるMycobacterium marinumC 以下 M,marinum) 皮膚感染症13例の分離菌株を用いて,ST 合剤,その成分である sulfamethoxazole および trimethoprim のM. mariniun に対する最小阻止濃度 (MIC) を測定した. MIC は ST 合剤では13株中11株が, sulfamethoxazole では13株すべてが 1.56~6.25mcg/ml であった.これに対して, trimethoprim は 12.5~1l00mcg/ml の範囲にあった.ST 合剤および sulfamethoxazole はその MIC および内服時の血中濃度を勘案すると, M. marinum 皮膚感染症の治療剤となりうることが示唆された.一方, trimethoprim 単独の治療効果は期待薄で,sulfamethoxazole との合剤においてもその相乗効果はほとんど期待出来ないことが示された.
  • 木花 光, 栗原 誠一, 西川 武二
    1983 年 93 巻 10 号 p. 1095-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    Laser 光を利用した Doppler 効果の原理に基づく laser Doppler flowmeter (Periflux) を用いて,健康人14例,全身性強皮症患者14例の示指末節皮膚の血流量を測定した.安静時血流量は強皮症 1.14±0.52V, 健康人 1.65±0.38V で強皮症で有意の低下を認めた (p<0.01). 寒冷刺激(反対側の手指を氷水に浸潰)時に,最小血流量は強皮症と健康人とで有意差なかったが,最小血流量に至るまでの時間および最小血流量から回復するまでの時間は,強皮症で有意に延長していた.また強皮症患者1例にnifedipine10mg 経口投与1時間後,安静時血流量が著明に増加し, 20mg/ 日44日間投与後では寒冷刺激時も血流量は高値に保たれた.
  • 1983 年 93 巻 10 号 p. 1099-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
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