日本皮膚科学会雑誌
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ポリエチレングリコール沈降物補体消費試験によるSLEのCirculating Immune Complexes の測定
四本 秀昭下川 優子野元 茂田代 正昭
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1983 年 93 巻 3 号 p. 287-

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抄録
近年,各種疾患において Circulating Immune Complexes(CIC) が測定され,その意義か注目されてきている.なかでも SLE では臨床症状と CIC 値がよく相関することから, SLE 患者の病態を把握する上で CIC 値の動態を観察することが重要であると考えられている. 我々は手嶋らにより紹介された手技が比較的簡単で感度の鋭敏なポリエチレングリコール沈降物補体消費試験を用い SLE 20例の CIC を測定した.臨床的に活動性と診断した SLE では全例 CIC か異常値を示し,平均 57.2±25.9% であった.又,非活動性の症例では,5.9±6.6% の CIC 値を示し1検体で軽度の異常値を示した他は全て正常範囲であった.活動性の SLE 患者に適当量のコルチコステロイドを投与すると, CIC は除々に低下してきた.又,治療に反応しない症例では CIC はほとんど変動せず予後不良であった. 患者血清を DNase 処理してその前後で CIC を測定し比較したところ, CIC 値は DNase 処理後軽度低下したのみで, SLE における CIC には DNA-抗 DNA 複合体も含まれてはいるが, DNA 以外の抗原に対する複合体も多く含まれていると思われた.
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© 1983 日本皮膚科学会
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