Hailey-Hailey 病(HHD) 及び Darier 病(DD)病変部皮膚,並びにその explant culture 遊出表皮細胞(OEC)を電顕的に検索し,次の結果を得た. 1)HHD 及び DD における表皮細胞(Kc)間の解離は,必ずしも desmosome 部中央での剥離によるとは断定出来ず,むしろ細胞質突起を含めた結合部いずれかの融解に起因する現象と思われた.2)両疾患病変部 Kc に見られる microvilli の著しい発達や変形,或いは逆にその消失は,上記の融解に伴う細胞膜障害の程度を反映した現象と考えられた.3)融解が特に著しく進行した場合,Kc は球形となり,表皮内に生じた裂隙(水疱)の中に遊離する.4)それらの中には小器官や tonofilaments を核周囲に集め,細胞膜との間に環状の電子透過帯を形成するものがあり,光顕レベルでの corps ronds に相当する細胞と推測された.5)この特異な球形細胞は,殆んどの場合別の Kc に丸ごと貪食された如き像を示し,それは殊に DD において顕著で,いわば ”corps ronds現象” とも称されるべき特異な機転を表わすものと判断された. 6)上記と identical な変化は,DD のみならず HHD からの ex・plant culture における OEC にも認められ,”corpsronds現象” が, in vitro においても起こり得ることが確められた.7)これらの所見から,DD 及びHHD における acantholysis 及び dyskeratosis の本態及びその発生機序が推論された.
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