1984 年 94 巻 2 号 p. 151-
原発性皮膚アミロイドーシスについて,パラフィン切片および新鮮凍結切片を用いた螢光抗体法を行ない,抗ケラチン抗体に対するアミロイド物質の反応性の検討を行った.材料としてはアミロイド苔癬7例,斑状アミロイドーシス18例の計25例を用いた.その結果原発性皮膚アミロイドーシスのすべての症例のパラフィン切片において,抗ケラチン抗体に対し,表皮細胞は強い陽性所見を示すにもかかわらず,アミロイド物質は陰性所見を示した.一方新鮮凍結切片においては陰性ないし陽性を示した.これらのことは,原発性皮膚アミロイドーシスにおけるアミロイド物質は抗ケラチン抗体による螢光抗体法ですべて陽性を示すという最近の幾つかの報告と一致しないもので,このことは皮膚のアミロイド物質の生化学的性状や形成機序を考える上で重要な所見と考えられた.