1984 年 94 巻 5 号 p. 575-
Infantile digital fibromatosisの再発例で組織培養法および電顕的に腫瘍細胞の微細構造を検討した.患者は6歳7ヵ月,女児.1歳8ヵ月時左中指,環指に腫瘤出現切除,再発は左環指の前回手術摘除部に近接して発生した.腫瘍細胞の組織培養によっても,細胞質内の好酸性微細顆粒状の封人体が作られることをみとめ,その数は培養細胞100箇に対して4~7箇であった.電顕的に封入体は中央部が細顆粒状に辺縁部では細線維よりなり,あるものは細胞質内に尾を引くような線維束を有していたが,dense bodyはみとめられなかった.さらに粗面小胞体内に約20nm周期の電子密度の高い部分を有する格子縞構造物をみとめ,試料傾斜装置により,6角管状構造をとることを明らかにした.しかしこの構造物は培養腫瘍細胞内にはみとめられなかった.