日本皮膚科学会雑誌
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Keratoma hereditaria mutilans―Retinoidが有効であった1例―
伊藤 隆大久保 正己
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1984 年 94 巻 7 号 p. 823-

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抄録

典型的な症状を呈したKeratoma hereditaria mutilansの1例を報告した.手掌皮膚の電顕的観察では角化に異常はみられず,tight-junctionや層板顆粒が比較的多くみられ,また細胞活性の亢進が推測された.Retinoid(Ro-10-9359)の経口投与にて角化性皮疹,絞扼輪ともに軽快し,著効を得た.Retinoid投与後の電顕所見では,細胞間浮腫と微絨毛形成,デスモソームの減少および層板構造の不明瞭な層板顆粒の増加をみとめた.mucin様物質の沈着や液胞,空胞はみられず,ミトコンドリア,粗面小胞体および遊離リボゾームは投与前より増加していた.

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© 1984 日本皮膚科学会
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