日本皮膚科学会雑誌
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94 巻, 7 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 遠藤 千鶴子, 片山 洋, 渡辺 千絵子, 林 懋, 川田 陽弘, 矢尾板 英夫
    1984 年 94 巻 7 号 p. 781-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    今回,我々は肝炎症状を伴わないHBV抗原持続感染者に見られた蕁麻疹様皮疹を経験したので報告する.この蕁麻疹様皮疹は組織学的にはLeukocytoclastic vasculitisの所見を呈し,蛍光抗体法で,IgM,C1q,C3,Fibrinogen及びFITC標識anti-HBs抗血清で真皮血管壁に特異蛍光を認めた.さらにradioimmunoassayで患者血清中にHBS抗原とIgGを含むImmune complexを証明できた.また,蕁麻疹様皮疹の消長と血中Immune complex量とは相関が見られた.従って自験例の蕁麻疹様皮疹部に見られたLeucocyto-clastic vasculitisはHBS抗原,IgM C3によるImmune complexによって生じたものと考えた.
  • 砒素ミルク中毒症追跡調査班 , 川津 智是
    1984 年 94 巻 7 号 p. 787-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    昭和30年夏に発生した砒素ミルクによる乳児集団砒素中毒被災者の青年後期における皮膚症状について,西日本を中心とした19医療機関で追跡調査を行った.この結果,受診者547名中50名に砒素によると思われる皮疹を認めた.そのうちわけは,躯幹や四肢の点状白斑47名,掌蹠丘疹状角化症13名,両者の併発が10名であった.今回の調査により,乳児期における砒素中毒症の一部の例では成人後も皮膚症状が継続してみられることや,なかには加齢とともに新らたな皮膚症状が生じてくる例のあることが明らかになった.今後もこれらの皮膚症状を有する例を中心にした長期の経過観察が必要と思われる.
  • 橋本 晃, 市橋 正光, 三島 豊
    1984 年 94 巻 7 号 p. 797-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    5%hydroquinone(HQ)吸水軟膏を塗布することによって黒色モルモット皮膚の明らかな肉眼的脱色を得ることができ,表皮内dopa反応陽性メラノサイト数も著明に減少したが,塗布中止3日後には表皮細胞内melanized melanosomeの消失ないし著明な減少が保持されているにもかかわらず,表皮内dopa反応陽性メラノサイト数は既に対照と同数に回復することをみいだした.すなわち,HQはメラノサイトに可逆的メラニン生成抑制を誘導し得る.かかる脱色素作用の機序としてHQは色素細胞内でtyrosinaseにより酸素原子の付加を受けてhydroxyhydroquinoneとなることを新たにみいだし,この物質により色素細胞内melanogenesisの選択的抑制が生じるものと結論した.
  • 前田 哲夫, 宮入 宏之, 高橋 省三, 諸橋 正昭
    1984 年 94 巻 7 号 p. 805-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    微細構造レベルから面皰の生成機序を解明することを目的に,オレイン酸を用いてウサギ耳介に実験的面皰を作成し,これを光顕および電顕的に検索した.その結果,微細構造的に,1)デスモソームやdesmosomal discの残存をともなう角層の凝集,多層化,2)ケラトヒアリン顆粒の増加や粗大化,3)トノフィラメントやオドランド小体の減少など,ヒト面皰と同様の変化が認められた.また,オドランド小体は細胞質内では有意の減少を示していたが,細胞間隙でしばしば集塊状となり豊富に認められた.このことからオドランド小体の質的変化の可能性を考えた.
  • 津田 眞五, 樋口 満成, 一木 幹生, 笹井 陽一郎
    1984 年 94 巻 7 号 p. 815-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    生後17日の組織および末梢血好酸球増多を伴うIncontinentia pigmenti女児例について,Boyden法を用いて水疱液中の好酸球遊走因子を検索した.その結果,水疱液中に強い好酸球遊走活性が認められ,Sephadex G-25カラムクロマトグラフィーによる解析でVitamin B12(M.W.1355)とPhenol red(M.W.354)の間に二峰性に分画されることが確認された.また末梢血好酸球増多の消失した生後60日目に腹部無疹部に作製したSuction水疱中にも,炎症期の水疱中に見られたと近似した低分子好酸球遊走因子が認められた.
  • 伊藤 隆, 大久保 正己
    1984 年 94 巻 7 号 p. 823-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    典型的な症状を呈したKeratoma hereditaria mutilansの1例を報告した.手掌皮膚の電顕的観察では角化に異常はみられず,tight-junctionや層板顆粒が比較的多くみられ,また細胞活性の亢進が推測された.Retinoid(Ro-10-9359)の経口投与にて角化性皮疹,絞扼輪ともに軽快し,著効を得た.Retinoid投与後の電顕所見では,細胞間浮腫と微絨毛形成,デスモソームの減少および層板構造の不明瞭な層板顆粒の増加をみとめた.mucin様物質の沈着や液胞,空胞はみられず,ミトコンドリア,粗面小胞体および遊離リボゾームは投与前より増加していた.
  • 鈴木 正巳
    1984 年 94 巻 7 号 p. 831-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    hydrocortisone(HC),dexamethasone(DM),triamcinolone acetonide(TA)の非標識あるいは3H標識化合物を含むクリームを調製し,ScotchRテープで角層を剥離したラットに外用して,各被験薬剤の全身および局所への作用ならびに経皮吸収後の体内分布と排泄量を比較検討し,以下の結果をえた.1)非標識クリームを連続塗布したラットの体重変動を追求し,体内臓器(胸腺,副腎,脾臓)の重量を測定した結果,全身への影響(副作用)はDM≧TA>HCの順に強かった.2)同一ラットで測定した皮膚の厚さの変動から,局所への影響もDM≧TA>HCの順に強く,全身への影響の順位と一致した.3)標識クリームを用いた全身オートラジオグラムにより経皮吸収に基づく放射活性の分布を観察すると,腸管内容物>肝臓>腎臓の順に多く,副腎,脾臓にも極く僅かに分布を認めたが,胸腺には認めなかった.4)標識クリーム塗布後の臓器中の放射活性を測定した結果,非標識クリームで前処置すると,肝臓,次いで腎臓に多く分布したが,他の3種の臓器ではほぼ同等であった.前処置しないと分布量は肝臓>腎臓>副腎>脾臓≧胸腺の順に大であった.5)同一ラットの排泄物中の放射活性の測定から,被験薬剤の角層剥離皮膚における経皮吸収はHC>DM>TAの順に多く,正常皮膚における順位と異なり,また吸収量も著しく多かった.6)非標識クリーム前処置群と無処置群について放射活性を比較すると,無処置群で約2倍の量が排泄されており,経皮吸収におよぼす連続塗布の影響が示唆された.以上より,コルチコステロイドは経皮吸収された後に特定の臓器に蓄積されることなく,ほとんどが肝臓,腸管部を経て糞中に排泄され,腎臓,膀胱よりの尿路系への排泄は少なく,各種コルチコステロイドの全身への影響は標的臓器への蓄積で発現するのではなく,標的臓器への薬理活性の強弱あるいは標的臓器の感受性の大小に基因することを実証しえた.また,正常皮膚と角層剥離皮膚での吸収量の相違と連続投与における吸収量の変動とから,適用部位,外用方法について考察し,さらにコルチコステロイドの影響の発現機序,連続投与の経皮吸収への影響などについても考察した.
  • 石井 正光, 古川 雅祥, 岡田 正博, 濱田 稔夫
    1984 年 94 巻 7 号 p. 845-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    皮膚ムコ多糖におけるproteoglycan aggregatesの電子顕微鏡像をFAC固定液(1% cetyltrimetyl-ammoniumbromide含有10%ホルマリン-90%エタノール液)による前固定を行なわずに描出することを目的としてruthenium red染色(Luft)の改良を試みた.染色時間の延長と染色液の濃度を高くすることにより4名の成人健常皮膚において行なった本染色法では全例において1本鎖の網目状構造に側鎖が附着したかたちの典型的な像が認められた.FAC固定は元来光顕用に開発された固定法であるため,電顕用の固定法のみで描出可能な本法を用いる方が組織保存の観点からはより良いと考えられる.
  • 中野 俊二, 阿部 順一, 岸 洋子, 蜂須賀 裕志, 笹井 陽一郎
    1984 年 94 巻 7 号 p. 849-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    Hyperkeratosis lenticularis perstansの皮疹を,光顕,透過電顕および走査電顕を用いて観察した.光顕では,皮疹において著明な角質肥厚,表皮の天幕状挙上,そして挙上部直下の真皮上層における密な細胞浸潤がみられた.透過電顕によると,皮疹の中央部においてケラトヒアリン顆粒の減少,Odland小体の消失がみられたが,皮疹辺縁部ではケラトヒアリン顆粒はむしろ増加,増大し,Odland小体もみとめられた.また,皮疹全体にわたり角質細胞に明瞭なケラチンパターンはみられなかった.走査電顕では,皮疹は周囲健常皮膚と明瞭に境され,天幕状形態を呈していた.個々の角質細胞は強く固着しており,また多数の汗口様構造がみとめられた.
  • 1984 年 94 巻 7 号 p. 855-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
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