日本皮膚科学会雑誌
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メラニン色素産生細胞におけるレクチン結合部位及び結合様式の検索
宇野 明彦堀 嘉昭斎田 俊明関 利仁大原 国章久木田 淳
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1984 年 94 巻 8 号 p. 897-

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抄録

ヒト皮膚に存在するメラニン色素産生細胞である悪性黒色腫細胞,真皮メラノサイト,表皮メラノサイト,色素性母斑細胞を材料にし,これら細胞におけるレクチン結合部位をペルオキシダーゼ標識レクチン(ConA,RCA,WGA,PNA)を用い電顕的に観察した.またメラニン色素産生細胞の細胞膜糖鎖構造を検討するために培養ヒト悪性黒色腫細胞,培養色素性母斑細胞を用い細胞膜におけるレクチン結合様式をFerritin標識レクチンを使用し電顕的に観察した.尚材料は全て前固定した.1.レクチン結合部位:ConAでは細胞膜及び細胞内膜系に結合部位が認められたが,RCA,WGA,PNAの結合部位は細胞膜に限局して認められた.これらの所見は全ての材料で同一であった.2.細胞膜のレクチン結合様式:細胞膜上のレクチン結合部位を示すFerritin粒子の分布を観察した結果,悪性黒色腫細胞,色素性母斑細胞共膜上に分布したFerritin粒子はWGA反応で豊富に認められ,PNA反応ではFerritin粒子は少なかった.Ferritin粒子数を悪性黒色腫細胞と色素性母斑細胞で比較したところWGA反応では悪性黒色腫細胞の方が多く,PNA反応では色素性母斑細胞の方がやや多いという結果を示した.このことから悪性化の過程においてシアル酸含量の増加の可能性を示唆した.

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© 1984 日本皮膚科学会
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