日本皮膚科学会雑誌
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Gardner症候群皮膚病変の病理学的研究―嚢腫性病変の発生病理―
成沢 寛日野 由和夫幸田 弘
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1985 年 95 巻 8 号 p. 869-

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抄録

Gardner症候群(以下G症と略)1家系3名より得られた16個の嚢腫性病変について,病理学的検討を行なった.通常の表皮嚢腫を思わせるが,注意深く観察すると,嚢腫壁・壁外に石灰化上皮腫様変化11個(69%),嚢腫壁の部分的消失4個(25%),トリコヒアリン顆粒の出現3個(19%)などの多彩な特徴的変化がみられ,表皮嚢腫類似のものは3個(19%)のみであり,13個(81%)のものに何らかの変化を認めた.このように嚢腫壁の一部に石灰化上皮腫様所見をともなった嚢腫は,他に類症の報告がなく,G症に特徴的なものと考えられた.組織発生機序としては,G症の多発性腫瘍性素因を背景に,第一次上皮芽からの外毛根鞘・毛母細胞・内毛根鞘・脂腺・アポクリン腺などへの多彩な分化過程の産物を反映しているものと考えられた.

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© 1985 日本皮膚科学会
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