日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
CTL誘導におけるマウス尾表皮細胞,Langerhans細胞の免疫学的役割の検討
飯島 正文
著者情報
ジャーナル 認証あり

1986 年 96 巻 11 号 p. 1143-

詳細
抄録

In vitro cytotoxic T lymphocyte(CTL)誘導の系を用いて,マウスの耳と尾の表皮細胞(EC),Langerhans細胞(LC)の免疫学的役割について比較検討した.尾表皮内には明らかにIa抗原陽性樹枝状細胞,すなわちLCが存在するにもかかわらず,尾LCは耳LCのもつCTL誘導における刺激細胞(STM)機能を発揮できず,また尾ECはprostaglandin分泌及びその他の未知の系を介して耳ECに比して有意にCTL誘導を抑制した.このようにCTL誘導において尾LCは耳LCとは異なってSTM機能をもたない,あるいは尾LCのSTM機能が尾ECにより抑制されている可能性が示されたが,尾ECが他の抗原提供細胞(APC)機能をもつ細胞(耳LC,脾細胞)によるCTL誘導をも強く抑制することから,尾LCのSTM機能が尾ECにより抑制されていることが推察された.このようにin vitro CTL誘導に際し,尾皮膚には独特の免疫抑制機序の存在が示唆された.

著者関連情報
© 1986 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top