日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
96 巻, 11 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 徳橋 至
    1986 年 96 巻 11 号 p. 1095-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    いわゆる皮膚混合腫瘍13症例について酵素抗体法を用いて腫瘍構成細胞の性状を検討した.3症例について電顕的検索も行なった.S-100蛋白,keratin,myosin,carcinoembryonic antigen(CEA)secretory component(SC)に対する各抗体を検索に使用した.(1)腫瘍を構成する一部の細胞はS-100蛋白,keratin,myosinに陽性で筋上皮細胞様性格を有すると考えられた.(2)腺管部ではCEA,SCも陽性であり,エックリン汗管および分泌部への分化を認めた.(3)間質部においてもS-100蛋白,keratinおよびmyosin陽性細胞が間質内に孤立性に存在し,腫瘍細胞であることが電顕的に確認された.
  • 川原 繁
    1986 年 96 巻 11 号 p. 1109-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    フローサイトメトリーにより測定されたS期細胞の分画(S分画)およびG2+M期細胞の分画(G2+M分画)の値,プロモデオキシウリジン標識指数および核分裂指数を指標として,中波長紫外線(UVB)1,2,4J/cm2照射後のモルモット表皮における細胞動態の変動を検索した.UVB1J/cm2照射部表皮では,S分画およびG2+M分画の値はそれぞれ6時間後および12時間後まで対照値と有意に異ならなかったが,S分画の値は12時間後から,G2+M分画の値は24時間後から,いずれも有意に増加した.標識指数および核分裂指数はそれぞれ2時間後および24時間後まで対照値より有意に低下したのち,標識指数は12時間後から,核分裂指数は48時間後から,いずれも有意に高くなった.なお,UVBの照射量が1~4J/cm2の範囲内では照射量の増加とともにS分画およびG2+M分画の値の増加時期はより遅くなることが示された.得られた成績から,UVB照射により細胞周期の各期の境界で完全またはほとんど完全なブロックが起こること,次いでG1-S境界でのブロックの解除後G1期の短縮によるS期への細胞流入の増加とS期細胞におけるDNA合成の亢進が起こることが推測された.また,UVB照射後比較的長く継続するM期への進行阻害によりG2期での細胞蓄積が起こることが示唆された.なお,この実験で照射されたUVB量の範囲内では,照射量が増加するとともにG1-S境界でのブロックの解除がより遅くなるように思われた.
  • 真鍋 求, 坪井 良治, 池田 志斈, 高森 建二, 小川 秀興, 真田 裕, 平井 慶徳, 五島 泰次郎, 里吉 光子, 山内 裕雄
    1986 年 96 巻 11 号 p. 1117-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    劣性栄養障害型表皮水疱症に伴う手指の癒着,変形には従来積極的な加療がなされておらず,今後の発展が待たれる分野である.我々は6例9手の屈曲拘縮に対して再建術を行ない,その治療経験を報告した.術前処理として高カロリー製剤・鉄剤の投与也輸血を施こし,貧血及び低栄養状態の改善を計った.麻酔時には挿管は行なわず,上肢伝達麻酔を主体とし,マスク・モニタリングの周辺には圧迫を和げるためスポンジを接着した.手術手技は,まず患部の表皮を一塊として手袋状に剥脱した後,指間を愛護的に解離し,皮切をおき拘縮をとる.伸展・開排位保持にはキルシュナー網線にて内固定し,皮膚欠損部に全層植皮を施した.術後約3週間後に抜釘し自動訓練を行ない,現在良好な成績を得られている.以上の治療は,皮膚科,整形外科,小児外科,麻酔科医等の協調のとれたグループワークと家庭での適切なスキンケアが不可欠と思われる.
  • 鹿島 真人, 斎藤 一義
    1986 年 96 巻 11 号 p. 1123-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    頭皮部の悪性脈管内皮細胞腫の2例の治療を経験した.第1例は78歳男,既往に頭部の打撲.他院にて切除を受けすぐに再発.第2例は71歳男,外傷の既往はなく未治療のまま来院.両症例ともに紅斑辺縁より5cmはなして切除し皮疹のあった部分の下床は骨膜を除去した後,さらに骨皮質を削り分層植皮術を行なった.術後化学療法として,cyclophosphamide,vincristine,adriamycin,DTICの併用療法を行なった.両症例とも術後2年以上経過しているが再発や転移の徴候を認めない.本腫瘍は皮膚悪性腫瘍中でも最も予後の悪いもののひとつとされており,2年以上再発のない症例はまれである.症例数が少ないが我々の行なった治療が有効であったと考えた.早期発見と積極的な治療で本症の治療率の上昇は期待しうるものと考える.
  • 金森 正志, 水谷 仁, 清水 正之
    1986 年 96 巻 11 号 p. 1133-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    60歳男性の下眼瞼に生じた伝染性軟属腫の1例を報告し,そのSH基特異的蛍光染色(DACM染色)所見について検討した.初診時の臨床所見からは確定診断が困難であったため,全摘術を施行した.組織学的には,細胞質内に特徴的な封入体(いわゆるモルスクム小体)を認め,典型的な伝染性軟属腫であった.DACM染色所見では,周辺正常部においては,特記すべき所見はみなかったが,病変部では,モルスクム小体に一致してSH基およびSS結合による強い蛍光を認めた.更には,病変部の表皮細胞質内に,SH基染色では染まらず,SS結合に富む微細顆粒が観察され,この顆粒はHE染色で好塩基性に染色されるケラトヒアリン物質の凝集する部位に多く分布する傾向を示したが,一致しては認められなかった.
  • 佐々木 弘美, 河村 真理, 高橋 明子, 滝内 石夫
    1986 年 96 巻 11 号 p. 1139-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    77歳,男性.左肩から項部に生じた帯状疱疹の経過中,左側後頭部・項部・肩・胸部・上腕にかけ,弛緩性膿疱,水疱および糜爛,痂皮等を混じるびまん性の紅斑が生じ,広範囲にニコルスキー現象を認めた.前胸部の閉鎖性膿疱等より,黄色ブ菌が培養され,培養されたブ菌を新生存ネズミに注射すると,広範囲なニコルスキー現象が認められた.患者の水疱は組織学的には,角層下水疱であり,表皮・真皮には特に異常所見はみられなかった.以上の結果よりssssと診断された.本症例における発症要因としては,帯状疱疹に帰因する細胞性免疫能の低下が推定された.本症例は,成人型ssssの確実例としては本邦第一例と思われ,さらに現在までに報告された15例のssssとの比較検討を加えた.
  • 飯島 正文
    1986 年 96 巻 11 号 p. 1143-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    In vitro cytotoxic T lymphocyte(CTL)誘導の系を用いて,マウスの耳と尾の表皮細胞(EC),Langerhans細胞(LC)の免疫学的役割について比較検討した.尾表皮内には明らかにIa抗原陽性樹枝状細胞,すなわちLCが存在するにもかかわらず,尾LCは耳LCのもつCTL誘導における刺激細胞(STM)機能を発揮できず,また尾ECはprostaglandin分泌及びその他の未知の系を介して耳ECに比して有意にCTL誘導を抑制した.このようにCTL誘導において尾LCは耳LCとは異なってSTM機能をもたない,あるいは尾LCのSTM機能が尾ECにより抑制されている可能性が示されたが,尾ECが他の抗原提供細胞(APC)機能をもつ細胞(耳LC,脾細胞)によるCTL誘導をも強く抑制することから,尾LCのSTM機能が尾ECにより抑制されていることが推察された.このようにin vitro CTL誘導に際し,尾皮膚には独特の免疫抑制機序の存在が示唆された.
  • 柳沢 宏実, 実川 久美子, 野崎 重之, 上田 宏一, 佐々木 聡, 佐藤 昌三, 安西 喬
    1986 年 96 巻 11 号 p. 1151-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    皮膚悪性黒色腫を生じたdysplastic neviの1例を報告した.患者は25歳,男性.幼少時より色素斑が多発していたが,思春期よりさらに急増し,約18ヵ月前より前胸部の皮疹の1つが結節状に隆起した.臨床的,病理組織学的に,多発性色素斑をdysplastic navi,また胸部の結節を結節型皮膚悪性黒色腫と診断した.本症例の結節型皮膚悪性黒色腫は,dysplastic navi病変を前駆皮疹として生じた本邦初例である.dysplastic neviの臨床的,組織学的な特色と,melanoma risk,患者管理について言及した.
  • 佐藤 昌三, 実川 久美子, 柳沢 宏実, 野崎 重之, 上田 宏一, 佐々木 聰, 安西 喬
    1986 年 96 巻 11 号 p. 1157-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    25歳,男性のdysplastic neviとこれに続発した結節型皮膚悪性黒色腫について,対比的に両病巣の電子顕微鏡的検討を行った.dysplastic neviでは異型なdysplastic melanocyteが胞巣状をなして表皮内で増殖し,異型性を欠く成熟melanosomeを産生する像が認められた.黒色腫病巣では表皮からvertical growth patternを呈して黒色腫細胞が真皮へ連続性,浸潤性に増殖する像を認めた.黒色腫細胞の異型性は顕著で,個々の細胞が多様な未成熟,異型melanosomeを産生する像を観察した.
  • 1986 年 96 巻 11 号 p. 1167-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
feedback
Top