日本皮膚科学会雑誌
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ヒト皮膚中のSuperoxide dismutaseに関する研究 第3報 アトピー性皮膚炎患者皮膚中におけるSuperoxide dismutaseと過酸化脂質含量
杉浦 功人飯田 芳樹大越 尚上田 宏平野 和行足立 哲夫
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1986 年 96 巻 3 号 p. 165-

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抄録

従来の活性測定法による皮膚中superoxide dismutase(SOD)の測定は,酸化還元物質の影響を受け,正確な測定ができない.又,カラムを通して測定する場合には,大量の検体を必要とする.そしてシアン感受性によるCu,Zn-SODとMn-SODの分別定量法にも問題があることを明らかにし,新しい測定法として,Cu,Zn-SODとMn-SODが免疫学的に明らかに区別できる事を利用して,微量測定が可能であり,特異性も高く,2種類のSODをその酵素蛋白量として定量するEnzyme immunoassay(EIA)を確立し,正常人における測定値(正常値)をすでに報告した.そこで今回我々は,皮膚における炎症性疾患のひとつである,アトピー性皮膚炎についてCu,Zn-SOD,Mn-SOD,Malondialdehyde(MDA)値を測定し,その値を正常人と比較した.その結果,Cu,Zn-SODは正常人とは有意な差を認めないが,Mn-SOD,Total-SOD,MDA値は,アトピー性皮膚炎の方が有意に高いことを認めた.

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© 1986 日本皮膚科学会
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