日本皮膚科学会雑誌
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96 巻, 3 号
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  • 真鍋 求, 池田 志学, 高森 建二, 小川 秀興
    1986 年 96 巻 3 号 p. 153-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    限局型劣性栄養障害性表皮水疱症の1例を報告した.症例は16歳男子,昭和59年10月初診.家系内に同症を認めない.生後3日目より水疱が出現し,以後主として四肢に機械的刺激により容易に水疱の形成をみ瘢痕を残し治癒することをくり返していた.10歳頃よりかかる症状は軽快し,現在では水疱の新生はまれとなり,両前腕伸側及び両下腿前面に瘢痕治癒局面を認めるのみである.全指趾の爪甲は脱落,手指は水かき状に癒着している.以上の症例は本邦第1例目に相当する.
  • 末木 博彦, 藤澤 龍一
    1986 年 96 巻 3 号 p. 157-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    糖尿病患者のコントロールの指標としてのHbAI値とpigmented pretibial patches(PPP)との関係を検討する目的で,以下の調査を行った.すなわち,155名の糖尿病患者の下腿を診察し,臨床症状の所見と程度に応じ,順次,PPP陰性群,単発型,散在型,多発型,線状配列型,局面型の6型に分類し,各例の糖尿病歴,過去3年以内のHbAI値,糖尿病合併症について調査した.その結果,①PPP陽性者は77名(49.7%)であった.②PPP陽性群では陰性群に比しHbAI値は高値を示したが,統計学的有意差を認めなかった.③PPP陽性群では陰性群に比し糖尿病歴は長く,統計学的有意差を認めた.④HbAI値の平均値9.45%,糖尿病歴の平均値9.9年を基準として,患者を4群に分類した.A群(HbAI値9.45%以上かつ糖尿病歴9.9年以上)におけるPPPの合併率は,66.7%,B群(HbAI値9.45%未満かつ糖尿病歴9.9年未満)におけるPPPの合併率は37.0%であった.臨床病型が進むほどA群に該当する割合は高くなり,B群に該当する割合は低くなる傾向が認められた.⑤PPP陽性群では陰性群に比し,他の糖尿病合併症を伴う率が高かった.以上の結果から①PPPは糖尿病歴が長く,コントロール不良の群に好発することが客観的に確認された.②PPPの臨床病型分類(私案)は,糖尿病歴の長さ,コントロールの状態を推定するある程度の指標となりうると考えられた.
  • 杉浦 功人, 飯田 芳樹, 大越 尚, 上田 宏, 平野 和行, 足立 哲夫
    1986 年 96 巻 3 号 p. 165-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    従来の活性測定法による皮膚中superoxide dismutase(SOD)の測定は,酸化還元物質の影響を受け,正確な測定ができない.又,カラムを通して測定する場合には,大量の検体を必要とする.そしてシアン感受性によるCu,Zn-SODとMn-SODの分別定量法にも問題があることを明らかにし,新しい測定法として,Cu,Zn-SODとMn-SODが免疫学的に明らかに区別できる事を利用して,微量測定が可能であり,特異性も高く,2種類のSODをその酵素蛋白量として定量するEnzyme immunoassay(EIA)を確立し,正常人における測定値(正常値)をすでに報告した.そこで今回我々は,皮膚における炎症性疾患のひとつである,アトピー性皮膚炎についてCu,Zn-SOD,Mn-SOD,Malondialdehyde(MDA)値を測定し,その値を正常人と比較した.その結果,Cu,Zn-SODは正常人とは有意な差を認めないが,Mn-SOD,Total-SOD,MDA値は,アトピー性皮膚炎の方が有意に高いことを認めた.
  • 杉浦 功人, 安部 誠, 稲坂 博, 上田 宏, 平野 和行, 足立 哲夫
    1986 年 96 巻 3 号 p. 171-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    腫瘍中のSuperoxide dismutase(SOD)活性の低下が数多く報告されているが,SOD含量の少ない組織をホモジナイズし,それを検体として,SOD含量を測定した場合には,共存物質の影響をうけ,正確な活性測定ができないことをすでに報告してきた.そこで,今回我々はSODを酵素蛋白量として定量するenzyme immunoassay(EIA)を用いて,ケロイド,肥厚性瘢痕,瘢痕組織中のSOD含量と,malondialdehyde(MDA)含量を定量し,正常者全層皮膚中の値と比較した結果,ケロイド組織中のCu,Zn-SOD,Mn-SOD,Total-SOD含量は,有意に低下していたが,肥厚性瘢痕では,正常者との間に有意な差はなく,瘢痕では,Cu,Zn-SOD,Total-SOD含量は有意に上昇していた.これらの結果より,ケロイドと肥厚性瘢痕の区別の指標のひとつにSOD含量測定がなるのではないかと推測される.
  • 伊藤 まゆみ, 大橋 勝
    1986 年 96 巻 3 号 p. 175-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    菌状息肉症(MF)6例,Sezary症候群(SS)2例の長期観察例でリンパ球のNuclear contour index(NCI)を検索した.MFについては,扁平浸潤期,腫瘍期における皮疹部のNCIを,SSについては,同一時期の末梢血と皮疹部のそれを検討した.さらに成人T細胞白血病(ATL)2例,リンパ腫様丘疹症(LP)1例,光線性類細網症(AR)1例およびMFが疑われる1例についても検索した.結果はMFでは,NCI値は対照に比し有意に高値に示し,病勢の進行と相関してさらに高値になった.SSでは,抹消血,皮疹部のいずれにおいてもNCI値は有意に高値を示した.抹消血NCIは皮疹部に比し有意に高値であり,またATLよりも有意に高値であった.LP,AR,MF疑い例ではMF類似の所見を得た.
  • 正木 仁, 手塚 正
    1986 年 96 巻 3 号 p. 189-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    1.ヒト下腿伸側皮膚を用いて角層の細胞層数の加齢にともなう変化を光顕的に7-(N-dimethylamino-4-methylcoumarinyl)maleimide(DACM)染色法を用い観察した.老齢者(60歳以上)の角層細胞数は若齢者(20歳以下)に比較して有意に増加することがみとめられた(p<0.001).老人性乾皮症についても同様に増加することがみとめられた(p<0.01).2.1と同部位の皮膚を用いてヒト顆粒層の加齢にともなう変化を光顕的にHE染色法を用い観察した.加齢にともない顆粒層の低形成化傾向がみとめられた(p<0.002).3.老人性乾皮症と若齢正常人(18~24歳)の下腿伸側皮膚の角層内脂質の変化をスフィンゴ脂質に注目して測定した.老人性乾皮症では角層内のスフインゴ脂質の減少がみとめられた(p<0.05),
  • 小倉 享一, 諏訪 芳秀, 田中 隆治, 吉栖 肇, 小川 秀興
    1986 年 96 巻 3 号 p. 195-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    冬虫夏草のエタノール抽出液は,背部を剃毛したC3Hマウスの毛再生(毛母細胞の休止期から成長期への変換)を促進し,その促進効果は抽出物の濃度に依存した.毛再生促進効果は3gの冬虫夏草を400mlの75%のエタノール溶液で抽出した液(抽出原液)の100倍希釈液においても認められた.また,上記C3Hマウスの系を用いて冬虫夏草抽出液と従来,毛再生に若干の効ありとして用いられている諸成分を混合せる溶液二種類との比較試験を行なったところ,抽出液に認められた毛再生促進効果は,二種類の混合液には認められなかった.
  • 1986 年 96 巻 3 号 p. 199-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
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