1986 年 96 巻 7 号 p. 711-
血中CEA値の上昇を認め,皮疹の改善とともに血中CEA値が低下した49歳,38歳男子の乾癬性紅皮症2例を報告した.血中CEAと皮疹との関連性をみるため,皮疹部におけるCEAの局在についてPAP法により検索し,parakeratosis直下の表皮上層棘細胞間ないし細胞膜,および浸潤好中球に一致してCEA陽性所見が認められたが,後者のそれはnonspecific crossreacting antigen(NCA)吸収後に消失した.以上より乾癬病変部表皮内におけるCEAの存在が判明したが,この反応が乾癬に特異的か否かという点で論議の余地が残された.しかし,表皮keratinocyte系細胞ではみられないCEAが乾癬表皮内で認められたことは注目すべきであり,この点につき今後更に詳細な研究が必要であると思われた.