1987 年 97 巻 13 号 p. 1555-
47歳,男性の抑制波長を伴う日光蕁麻疹の症例を報告した.作用波長は400~500nm,抑制波長は560~610nmに存在した.作用波長と抑制波長を共に含むslide projector(SP)光を照射すると,照射終了後に膨疹が出現した.SP光に引き続いて抑制波長を照射すると,照射中のみ膨疹形成を抑制しうることが明らかとなった.またin vitroで患者血清にSP光を充分量照射し患者皮内に注射したところ,僅かな紅斑を認めたのみであった.これらの所見より,自験例の抑制波長による膨疹抑制の機序として,複数のメカニズムの存在が推定された.