1987 年 97 巻 6 号 p. 705-
接触皮膚炎反応の強さは,まず感作時に抗原処理を行うマクロファージや抗原提供細胞のレベルで調節されていると想像される.我々はマクロファージの貪食能を活性化するdiethylstilbestrol(DES)をマウスへ投与し,picryl chloride(PCl)による接触皮膚炎反応へどのような影響を及ぼすか検討した.DESを前投与したマウスで十分大きな接触皮膚炎を惹起するためには,より多量の抗原が必要であった.至適抗原量をDES抗与マウスへ塗布すると反応は対照群より弱く,CY前処理で反応の強さは対照群と同程度となった.DES前投与マウスではCon Aに対するリンパ球幼若化反応は対照群と差はなかった.腹腔浸出細胞はDES投与群で貪食能が高まっていた.以上から,マウス接触皮膚炎は感作の段階でまずマクロファージ群による反応の調節が行なわれていると考えた.