日本皮膚科学会雑誌
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8-メトキシソラレンとアフラトキシンB1の光発癌性について
永代 絹男
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1987 年 97 巻 9 号 p. 1025-

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抄録

8-メトキシソラレン(8-MOP)とアフラトキシンB1(AFB1)のマウスの皮膚に対する光発癌性を2種類の光源,長波長紫外線(UVA)と長波長および中波長紫外線(UVA&B)とを用いて検討した.8-MOPを塗布したマウスでは両光源によって皮膚腫瘤が発生した,50%の腫瘤発生率を示したのは,UVA照射の場合は24週,UVA&B照射では21週であった.2つの光源の腫瘤発生率には統計学的有意差はなかった.病理組織学的には腫瘤はほとんどがsquamous cell carcinomaとactinic keratosisであった.基底細胞癌,皮膚付属器腫瘍は発生しなかった.リンパ節転移は認められなかった.MeOHあるいはAFB1を塗布したマウスではUVA照射によって皮膚腫瘤は発生しなかったが,UVA&B照射によって少数の腫瘤が生じた.しかし,これらの間には統計学的有意差はなかった.8-MOPとAFB1はその化学構造内にクマリン骨格を有し,光化学的性質およびDNAとの反応性は類似しているが,皮膚に対する光発癌性には差がみられた.

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© 1987 日本皮膚科学会
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