我々が作製し,先に報告したマウス抗ヒト悪性黒色腫メラノソーム単クローン抗体MoAb Human Melanosome-Associated Antigens(HMSA)-2,HMSA-3,HMSA-4を用い,半年間にわたって外傷後の血管拡張性肉芽腫と誤って加療されていた爪甲下無色素性黒色腫を診断することができたので報告する.全切除標本は表層拡大型黒色腫であり,電顕下でstageⅠ,Ⅱの類円形メラノソームが多数存在していた.本3抗体は,いずれもホルマリン固定・パラフィン包埋黒色腫細胞とよく反応し,その反応の場は細胞質である.正常メラノサイトを含む正常組織及び神経系腫瘍を含む他の上皮性腫瘍との交叉反応は非常に少ない.これらの特徴から,本3抗体は黒色腫を疑うことなく行なわれた生検・手術材料の確定診断への有力な一手段となり得る.