1988 年 98 巻 11 号 p. 1085-
日本人の正常皮膚の表皮を分離し糖脂質を抽出,精製した.表皮はmonoglycosylceramidesおよびfaster running glycolipidsを有し,2糖以上の糖鎖を持つ中性糖脂質ならびにガングリオシドを含む酸性糖脂質を有していなかった.Faster running glycolipidsはアルカリで加水分解されリノール酸を遊離するエステル型糖脂質であり,2種類存在することが明らかになった.1つはGrayらが10年前に報告したProbleminに相当する成分であると考えられたがその構造は彼らの提唱したものとは異なっていた.他の1つは今回新しく見つけられた成分であった.これらエステル型糖脂質の構造は表皮特有のものであると考えられ,この糖脂質をEpidermosideと呼ぶことを提唱する.