日本皮膚科学会雑誌
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培養ヒト真皮線維芽細胞の培地中へのグリコサミノグリカン蓄積量に関する検討―特にドナーの年齢との相関について―
林原 利朗
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1988 年 98 巻 4 号 p. 431-

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抄録

加齢に伴う真皮GAGs減少の原因を解析するため,60歳以上老年群9例,6歳以下若年群8例の正常人非露光部から採取した真皮を培養して得られた4代目(cell population doubling time 7)線維芽細胞を用いて,細胞倍加時間および単位時間・細胞あたりの培養液中へのGAGs蓄積量を測定し,群間の成績を比較検討した.細胞倍加時間は老年群(N=9)91.7±31.2時間,若年群(N=8)45.3±12.6時間で,老年群に有意の延長が認められた(pく0.05).GAGs蓄積量(ウロン酸値)は老年群(N=8)1.87±0.64×10-12g/cell/hr,若年群(N=8)1.96±0.38×10-12g/cell/hrで,両群間に有意差はみられなかった.セルロースアセテート膜電気泳動およびカラムクロマトグラフィーによる分析では両群ともHAが大部分を占め,小量のDS,Ch4sも認められたが,両群間の差は認められなかった.同一実験条件により蓄積されたGAGsに量的な差が認められなかったことは,GAGsの線維芽細胞による産生・分解系の動態の一面を表現しているものと考えられる.

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© 1988 日本皮膚科学会
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